研究課題/領域番号 |
15K01608
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
多田 智美 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教 (70746007)
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研究分担者 |
畠中 泰彦 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (10309601)
齋藤 恒一 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助手 (10601734)
山口 和輝 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助手 (20725030)
高橋 猛 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (70440849)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 四方向懸垂 / 体重免荷運動 / 弾性体 / モーメント / 脳性まひ |
研究実績の概要 |
四方向懸垂による運動の制御は、多自由度・多次元の高速動作を実現するパラレルメカニズムによる制御機構と同様に、自由度の高い運動を保障できるシステムである。本研究では、四方向に分散して体重を懸垂すると共に、懸垂コードを弾性体にすることで体重の免荷と共に関節運動の補助を行い、脳性まひ者の運動療法としての確立を目指している。平成27年度は、動作撮影を行うことのできる体重免荷運動装置のフレームと吊上げワイヤーの作成を行い、健常者を対象に体重免荷運動介入前後の下肢関節可動域の座位時の体重分布などの測定し、健常者では、四方向懸垂運動後に股・膝関節の関節可動域が改善し、四方向懸垂運動では、上方二方向懸垂(非弾性体)運動に比べて股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈の各モーメントが小さいことが認められた。平成28年度からは、体重免荷なし運動と体重免荷あり四方向吊上げ運動を健常者で比べる計測を実施し、現在解析中である。また、四方向懸垂による体重免荷運動を脳性まひ者に実施しその介入前後の歩行分析を実施している。現在解析が済んでいるのは一名であるが、四方向懸垂体重免荷運動介入後に、歩行時の立脚初期に股関節伸展モーメントが増加することと立脚後期に股関節最大伸展角度が増加することを認めている。これらは脳性まひ者の典型的な歩行パターンの中の屈み歩行に対して改善が期待できる結果であり、今後症例数の増加を図り、更に詳しく測定を行う予定である。また、呼吸機能計測は、今年度実施に向けて検討の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度途中に実験器具の動作が不安定となり、調整に時間がかかった。この点については、現在は改善し実験を再開している。 また、今年度の研究対象となる脳性まひ者の運動機能レベルをかなり制限して設定したため、実験施設までの移動ができる対象者が少なく、症例数を増やすことができなかった。今後は運動機能レベルを限定することなく実施して、症例数を増やしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
健常者における四方向懸垂体重免荷運動による影響を解明するには、体重免荷量を変えて計測をする必要があると考えている。この点については、0%と20%免荷運動での測定は実施しているが、免荷量を増やしていくときのベルトやサポーターの開発が必要である。 また、現段階では軽度な運動障害の脳性まひ者を対象に実施しているが、パラレルメカニズムによる四方向懸垂による体重免荷運動は、立位保持が難しい重度な障害のある脳性まひ者にも適応のある運動装置であることから、今後できれば運動障害が重度な障害像を呈する脳性まひ者での計測を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の実験の遅れのため、健常者での実験が今年度も続いたため、脳性まひ対象者での実験が遅れており、謝金などの支払いが当初の予定よりも少なくなっている。今年度呼吸循環器系の測定に備えての消耗品などの購入を考えていたが、実験の遅れから、ずれ込んでおり、それらの消耗品の購入がなかったことも理由として挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、測定数を増やすと共に解析が追いついていないので、解析用のパソコンなどのデータ収集と解析のための備品の購入を追加で再度検討し、また外部での測定も鑑みて測定機器の購入などについて検討したい。また、呼吸循環器系の測定についても、消耗品などを購入し、実験を行う予定である。
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