研究課題/領域番号 |
15K01612
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
服部 宏治 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (00309684)
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研究分担者 |
崎田 嘉寛 広島国際大学, 工学部, 講師 (60390275)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 「体育・スポーツ」事業 / F.H.Brown / YMCA |
研究実績の概要 |
平成27年度の課題は、(1)YMCAの「体育・スポーツ」事業を直接的・間接的に対象とした選考研究を収集・分類・整理し、精緻に分析することで、(2)アメリカ国内に保存されている第1次資料を発掘するための予備調査を行うことであった。 (1)YMCAの「体育・スポーツ」事業に関する先行研究の分析について、まず国内外の主要データベースを活用することで網羅的に研究情報を蓄積した。次に、アジア地域におけるYMCAの「体育・スポーツ」事業および体育幹事(主事)の動向について明らかにされていることとされていないことを把握し、研究の基盤を確立した。加えて、アジア地域における体育幹事(主事)の動静、各人物間の相互関連の大要を確認した。(2)上記の先行研究の分析に基づいて、2015年8月31日から9月4日の日程で、ミネソタ州立大学(University of Minnesota)のアンダーセン図書館内(Andersen Library)にあるYMCAアーカイブス(YMCA Archives)の予備調査を実施した。この予備的調査では、戦前期の日本における「体育・スポーツ」事業を対象とした資料群の保存・整理状況を把握しつつ、原資料を手作業で点検した。作業の中心となった資料は、「Records of YMCAinternational work in Japan」(全52Box)である。加えて、仮目録の作成と並行して、時代と内容を限定して一部資料をデジタル撮影した。具体的には、「Correspondence and Reports」における「Annual and Quarterly reports」および1945年以前の体育事業関係資料、F.H.BrownおよびW.S.Ryanの個人ファイルフォルダーである。本予備調査によって次年度以降の研究の方向性を導出できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、予定していた研究初年度の研究課題を順調に達成しているため、「おおむね順調に進展している」と裁定した。具体的な理由は、まず、当初予定していた先行研究の包括的な収集と分析により、3年間を予定している本研究の研究基盤を確かなものにすることができた。日本におけるYMCAによる「体育・スポーツ」事業の大要を把握したことはもちろんのこと、アジア地域にまで視点を拡大して「体育・スポーツ」事業の概要と人物の関連を把握したことで、歴史社会学的観点からの課題を導出できた。また、当初から予定していたミネソタ州立大学YMCAアーカイブスの予備調査を実施し、本調査に向けた下準備を整えることができた。最後に、研究分担者との連携および役割分担、研究課題の解明に向けたプロセスも共有されている。
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今後の研究の推進方策 |
3年間を予定している本研究は、初年度終了時点までにおいておおむね順調に進展しており、研究を遂行する上での問題は今のところ生じていない。2年目となる平成28年度の研究計画に関しても、当初の計画通りに進める予定である。すなわち、(1)日本の各都市YMCAの資料調査、(2)アメリカ国内に保存されている資料の本調査、(3)収集した資料の分析、である。具体的には、次の通りである。(1)日本の各都市YMCAの資料調査は、これまで未調査であった名古屋YMCAの調査を実施するとともに、日本YMCA同盟(東京都)や東京YMCAの再調査を実施することで、アメリカでの資料調査に対する内容的深化を促し、視点と方法を多様化させる。(2)平成27年度のアメリカでの予備調査および平成28年度の国内資料調査に基づいて、アメリカ国内に保存されている資料の本調査を行う。具体的には、ミネソタ州立大学YMCAアーカイブスのさらなる調査に加えて、スプリングフィールド大学附属図書館の調査も射程に入れる。(3)収集した資料の分析では、アジア地域における各拠点の主要な体育幹事(主事)の人物像を構築し、人物相関図を完成させる。また、時代背景に応じたYMCA「体育・スポーツ」関係者の役割を描き出す。
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