研究課題/領域番号 |
15K01614
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研究機関 | 兵庫県立福祉のまちづくり研究所 |
研究代表者 |
原 良昭 兵庫県立福祉のまちづくり研究所, その他部局等, 研究員 (00426545)
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研究分担者 |
中村 俊哉 兵庫県立福祉のまちづくり研究所, その他部局等, 技師 (20426547)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハンドバイク / ハンドサイクル / トルク / 障害者スポーツ / 車椅子 / パワー |
研究実績の概要 |
ハンドバイクは手で漕ぐ自転車といえ、その形状は車椅子型とリカンベント型に大別される。本研究の目的は、ハンドバイク競技者の競技力向上を支援するために、ハンドバイクのセッティングが競技者の発揮する力に及ぼす影響を明らかにすることである。本研究ではこの研究目的を達するために、被験者が発揮した力の計測が可能なハンドバイクを製作する。研究初年度である平成27年度では、主軸位置やバックレストの角度などが調整できる車椅子型ハンドバイクに市販されている自転車用のパワーメータを組み合わせることで、被験者が発揮した力の計測が可能な計測用車椅子型ハンドバイクを製作した。 製作した計測用車椅子型ハンドバイクは1漕ぎで進む距離が長いため、室内での計測は困難であった。そのため、研究次年度となる平成28年度では、室内での計測を行うために、計測用車椅子型ハンドバイクに自転車用の固定ローラ台を取り付ける改修を実施した。また、リカンベント型ハンドバイクについてもバックレストの調整が可能なリカンベント型ハンドバイクを購入し、固定ローラ台を取り付ける改修を実施した。リカンベント型ハンドバイク用として、利便性向上と詳細なデータ収集を目的に、本研究用パワーメータの開発を開始したが年度内に完成しなかった。 最終年度となる本年度でも、パワーメータの開発を継続していたが、我々の想定よりも課題が多く開発が難航した。そのため、リカンベント型ハンドバイクについても、車椅子型ハンドバイクに用いた市販品を活用するように研究計画を修正した。その結果、リカンベント型ハンドバイクについても計測システムは構築できたが、十分な計測を行うことができなかった。本研究は本年度をもって完了する予定であったが、研究期間を1年間延長し、来年度に計測を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は、ハンドバイクのセッティングが競技者の発揮する力に及ぼす影響を明らかにすることである。本研究は計測システムの開発と開発した計測装置を用いた計測の2つに大きく分けることができる。また、ハンドバイクは車椅子型ハンドバイクとリカンベント型ハンドバイクに大別でき、本研究では両方のハンドバイクを研究対象とする。 研究当初では、まず、計測用車椅子型ハンドバイクを開発し、その後、計測用車椅子型ハンドバイクを用いた計測と並行して、計測用リカンベント型ハンドバイクの開発を行う予定であった。計測用車椅子型ハンドバイクでは市販されている自転車用のパワーメータを使用したこともあり、研究当初の予定と大きな相違が生じることなく完成した。計測用リカンベント型ハンドバイクの開発では、利便性向上と詳細なデータ収集を目的に、市販品ではなく新たなパワーメータの開発を試みたが、パワーメータの開発は我々の想定よりも難航した。そのため、計測用車椅子型ハンドバイクを用いた計測を中止して、パワーメータの開発に注力した。しかし、研究当初の最終年度においても、パワーメータの完成目処が立たなかったため、研究計画を修正し、計測用車椅子型ハンドバイクと同様に市販品の自転車用パワーメータを使用することにした。この変更により、計測用リカンベント型ハンドバイクを完成することができた。したがって、平成30年3月末時点では、車椅子型ハンドバイク及びリカンベント型ハンドバイクともに開発が完了し計測が行える状況である。しかし、計測用ハンドバイクの開発の遅れによって、計測が行えておらず、十分なデータが集まっていない。そのため、研究期間を延長し来年度に計測を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究期間は3年間であり、本研究は本年度で終了する予定であった。しかし、ハンドバイクに取り付けるパワーメータの開発が我々の予想よりも難航し、最終年度であった本年度でも完成目処が立たなかった。そのため、パワーメータの開発を中止し、市販されている自転車用パワーメータを活用することにした。その結果、本年度では車椅子型ハンドバイク及びリカンベント型ハンドバイクの両ハンドバイクともに計測システムを構築することができた。しかし、研究自体の遅れを取り戻すには至らず、当初の研究期間内で十分な計測を行うことはできなかった。そのため、研究期間を1年間延長し、来年度は構築した計測システムを用いてデータを集め、解析を行う。 本年度までパワーメータの開発に注力していたため、計測されたデータに対する解析プログラムを本年度中に完成させることはできなかった。そのため、来年度では、両ハンドバイクでの計測と並行して解析プログラムの開発も継続して行う。解析プログラムの開発では、我々が以前の研究で開発した解析プログラムを参考とすることで、開発の効率化を図る。 また、来年度に行う計測では、被験者及び計測回数を確保するために、被験者をハンドバイク競技者に限らず健常者も対象とする。さらに。限られた計測回数に対して効率的な研究を行うために、計測を行うハンドバイクのセッティング条件の再検討し、優先度が高いセッティング条件に対する計測から実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度では、昨年度から継続し、リカンベント型ハンドバイクに取り付けるパワーメータの開発を行っていたが、当初の予想よりも課題が多く開発が難航した。そのため、パワーメータの開発を中止し、市販されている自転車用パワーメータを活用するように研究計画を修正した。その結果、自転車用パワーメータを新たに購入し、ハンドバイクに取り付けるための経費が必要となったが、予定していたパワーメータの開発費よりも安価であった。また、計測システムの構築が遅れた結果、被験者への謝金や交通費といった計測に必要な支出が生じなかった。これらのことから、次年度使用額が生じた。次年度使用額は計測システムの改良・保守、被験者の確保、計測及びデータ解析の費用に充当する。
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