研究課題/領域番号 |
15K01617
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石原 昭彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (90184548)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メタボリックシンドローム / 軽度高気圧酸素 / 骨格筋線維 / 有酸素代謝 / 血糖 / HbA1c / ヒラメ筋 / PGC-1α |
研究実績の概要 |
生後20週齢のメタボリックシンドロームを発症するラットを普通環境 (1気圧、20.9%酸素) に滞在させるグループ (5匹) と軽度高気圧酸素 (1.25気圧、36%酸素) に1日3時間にわたって滞在させるグループ (5匹) に分けて、16週間にわたって飼育した。対照群として、普通飼育のWistar系ラット (5匹) を生後20週齢から16週間にわたって普通環境で飼育した。 軽度高気圧酸素で飼育したメタボリックシンドロームのラットでは、普通飼育したメタボリックシンドロームのラットに対して、空腹時および常時血糖、HbA1c、総コレステロール、中性脂肪が低く、アディポネクチンが高い値を示した。また、普通飼育、および軽度高気圧酸素で飼育したメタボリックシンドロームのラットでは、普通飼育したWistar系ラットよりも空腹時および常時血糖、HBA1c、総コレステロール、中性脂肪が高く、アディポネクチンが低い値を示した。 軽度高気圧酸素で飼育したメタボリックシンドロームのラットでは、普通飼育したメタボリックシンドロームのラットに対して、ヒラメ筋での酸化系酵素活性、Pgc-1α mRNAの発現量が高く、type I線維の割合に減少が認められた。一方、これらの値は、普通飼育したWistar系ラットの値にまで近づくことはなかった。 軽度高気圧酸素は、成熟時のメタボリックシンドロームに対して高血糖、高脂血症を予防して、骨格筋の酸化系酵素活性の低下を改善することが明らかになった。 軽度高気圧酸素は、発育期から成熟期におけるメタボリックシンドロームの発症・進行を抑制すると結論される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、3年間の研究期間で段階的に実験を進めていき、「軽度高気圧酸素」の使用が、発育期 (研究の第1年度)、成熟期 (研究の第2年度)、高齢期 (研究の第3年度) に認められるメタボリックシンドロームの発症を予防したり、改善 (軽減) できるかどうかを検討することを目的としている。平成27年、平成28年度は、それぞれ「発育期」、「成熟期」のメタボリックシンドロームを発症するラットを使用して、いずれも軽度高気圧酸素の効果を確認できた。研究は、問題なく順調に進むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の第3年度 (最終年度) は、メタボリックシンドロームを発症している老齢期のラットを使用して、「軽度高気圧酸素」への滞在によってメタボリックシンドロームを改善 (軽減) できるかどうかを検討する。実験方法・分析法は、研究の第1年度、および第2年度と同様であるが、老齢のラットを使用することが、研究の第1年度、および第2年度とは異なる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究で使用した消耗品 (試薬など) の消費が予定よりも少なかったことにより、計上していた予算よりも少ない額で研究を終了できたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度 (第3年度) では、研究の第1年度、および第2年度に分析できなかった項目の分析を行うために新たに試薬の購入が必要となる。とくにタンパク質を解析するために電気泳動を用いた分析を行うので、そのための試薬の購入が必要となる。
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