研究課題/領域番号 |
15K01619
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
和田 正信 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (80220961)
|
研究分担者 |
松永 智 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (70221588)
矢中 規之 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (70346526)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 筋疲労 / 温熱刺激 / ヒートショックプロテイン / 低頻度疲労 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,温熱刺激が低頻度疲労を軽減できるか否かを検討することであり,本年度は,温熱刺激を与えてからの時間経過の影響を検討した.実験にはラットを使用し,温熱刺激としては,42℃の温水にラットの下肢を20分間浸漬する方法を用いた.ラットを温熱刺激を与えるH群と与えないC群に分け,H群を温熱刺激直後に解剖するH0群,6時間後に解剖するH6群,12時間後に解剖するH12群,24時間後に解剖するH12群に細分した.それぞれの時間経過後,下腿三頭筋の疲労耐性を測定するとともに,生化学的分析を行い,以下の結果を得た.なお,疲労刺激を与えた脚を運動脚,与えない脚を安静脚として用いた. 1) C群と比べH0群およびH24群において,疲労刺激後の張力に有意な高値が認められた.2) 他の群と比べH24群において,ヒートショックプロテイン70のタンパク量に高値が観察されたが,統計的に有意ではなかった.3) C群,H0群,H6群およびH12群では,安静脚と比べ運動脚において,筋小胞体のCa2+取り込み速度に有意な低値が認められた.これに対して,H24群では両脚間に差異は観察されなかった.4) 全ての群で,安静脚と比べ運動脚において,筋小胞体のCa2+-ATPase活性に有意な低値が認められた.5) C群と比べH24群では,安静脚におけるGSH量に有意な高値が観察された. 以上の結果から,温熱刺激を与えることによって,刺激負荷直後および一定の時間を経た後に,低頻度疲労が軽減されること,およびこの効果には,筋小胞体のCa2+取り込み機能の変化が関与していることが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,平成27年度は,温熱刺激の刺激時間の影響を検討する予定であった.しかしながら,予備実験において,温熱刺激後の時間経過をまず明らかにする必要性が出てきたため,平成29年度に予定していた実験を先に行った.このような変更はあったものの,実験計画全体としてはほぼ順調である.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は,平成27年度に予定していた実験(温熱刺激時間の影響の検討)を実施する.
|