一定期間経口摂取させた硝酸塩が、伸張性収縮による筋収縮力および細胞内Ca2+制御能力の機能低下抑制に関与するか否かを検討した。 10週齢の雄性ラット30匹を伸張性収縮前0~6日間、水溶化させた硝酸ナトリウムを経口摂取させ、伸張性収縮を300回負荷した。長指伸筋および前脛骨筋を、筋収縮終了直後に摘出し分析した。摘出した前脛骨筋はすぐに張力計につなぎ、生理食塩水(37℃)中で、筋収縮力を測定した。長指伸筋については、酵素活性測定用とタンパク質解析用に分割し測定までの間、-80℃冷凍庫にて保管した。 硝酸塩摂取0~3日間の筋収縮力において伸張性収縮負荷脚(収縮群)は対照脚(対照群)と比較して明らかな減少がみられたが、6日間摂取において、その差は認められなかった。筋小胞体Ca2+放出速度では、硝酸塩を摂取しなかった0日間群において、収縮群は対照群と比較して顕著な減少がみられた。しかしながら摂取3日目以降では収縮群と対照群の間に差は認められなかった。 細胞内Ca2+制御能力に関与するタンパク質の解析を行うために、SDSポリアクリルアミド法による電気泳動法にてタンパク質を分離した。引き続き免疫ブロッティングを行い、筋小胞体Ca2+放出に関与するリアノジン受容体とジヒドロピリジン受容体タンパク質の量的分析を行った。その結果、収縮群と対照群間に、硝酸塩摂取0~3日間のリアノジン受容体とジヒドロピリジン受容体の量に差異が認められなかった。しかしながら、3~6日間の硝酸塩摂取により、収縮群と対照群とともに、リアノジン受容体とヒドロピリジン受容体のタンパク質量の減少がみいだされた。
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