研究課題/領域番号 |
15K01623
|
研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
吉田 剛一郎 鹿屋体育大学, その他部局等, 准教授 (10274870)
|
研究分担者 |
堀内 正久 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50264403)
佐伯 武頼 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (10056070)
吉武 裕 鹿屋体育大学, その他部局等, 教授 (00136334)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | カルニチン / 脂肪酸代謝 / JVSマウス / 絶食 / 中枢神経系 |
研究実績の概要 |
カルニチン投与は何を起こしているのか、マウスの自発行動におよぼす影響について、全身の代謝および中枢神経系の双方から検討を行った。先天的にカルニチンを欠損するモデル動物、juvenile visceral steatosis(JVS)マウスを用いて、カルニチンの投与効果をより明確に示すことを目的とした。絶食(餌を抜く)により、JVSマウスの自発行動量は著しく低下する。自発行動量の低下したJVSマウスに、カルニチンを1回投与すると自発行動量は増加し、投与したカルニチンが体内から消失した後も、投与効果は持続的に認められた。全身の代謝からみると、投与したカルニチンが体内から消失した後も、脂肪の消費量、長鎖脂肪酸酸化レベルは亢進を示した。一方、血中ケトン体レベルは、自発行動量を決定する因子ではなかった。長鎖脂肪酸酸化は、遊離脂肪酸、肝臓トリグリセリドのレベルに規定されてもいなかった。その他の因子については、カルニチンの律速酵素であるcarnitine palmitoyltransferase(CPT)1のレベルについて検討を行ったが、その差をみるには至らなかった。 JVSマウスの絶食時の自発行動量は、ドーパミン作動性神経を介して自発行動の賦活剤となるモダフィニルを経口投与することにより増加を示した。一方、モダフィニル投与は、オレキシン神経活動を活性化することが知られている。それ故、JVSマウスの自発行動には、オレキシン神経活動が関与している可能性が考えられる。JVSマウスの自発行動量低下について、中枢神経系におけるオレキシン神経活動との関係を検討したところ、視床下部外側野におけるc-Fos陽性のオレキシン神経細胞の割合の低下を認めた。また、脳脊髄液中に分泌されたオレキシンAのレベルについて検討したところ、絶食JVSマウスでは、野生型マウスと比較して有意な低下を認めた。カルニチン欠損JVSマウスの絶食による自発行動量低下には、オレキシン神経活動の低下が関与すると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
JVSマウスの自発行動に対するカルニチン投与の持続的効果について、全身の代謝に関する実験に若干の遅延は生じているが、中枢神経系の実験を含めて、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画に大幅な変更はない。JVSマウスの自発行動に対するカルニチン投与の持続的効果について、全身の代謝に関しては、脂肪酸代謝の調節に関わる因子について検討を進める。中枢神経系に関しては、アミノ酸の関わりについて検討を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究に必要となるカルニチン欠損JVSマウスの育成に時間を要したため、当初計画した全身の代謝に関する実験に若干の遅延が生じ、次年度使用額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
実験に必要なJVSマウスが確保でき次第、全身の代謝に関する実験を推進するために使用する予定である。
|