研究課題/領域番号 |
15K01630
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
山口 眞紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30271315)
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研究分担者 |
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20179675)
大城戸 真喜子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30287304)
山内 秀樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60220224)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 心肥大 / ポリアミン / 運動 |
研究実績の概要 |
まず昨年度に行った運動性心肥大に対するプトレシン経口摂取の効果を調べる実験後に採取した心筋標本のウェスタンブロッティング解析により、心肥大や不整脈、ポリアミン・エネルギー代謝との関連が示唆されるタンパク質(Kir2.1、COXⅣ、カルシニューリン、ODC,MAPK、コラーゲン)発現量を測定したところ、プトレシン投与による有意な違いは認められなかった。また、同実験で採取した全身の主要臓器についてポリアミン含量をHPLCで測定した結果、運動により血清への蓄積が抑制された摂取プトレシンは、体内のいずれの臓器でも増加していないことがわかり、経口摂取されたプトレシンは運動により積極的に体外に排泄されていると考えられた。これらのことより、外来性に投与したプトレシンにより心筋内プトレシン濃度が増加しただけでは心肥大や不整脈を起こすシグナルは動かないこと、運動とプトレシン投与が同時に行われた場合には、プトレシンが適切な範囲となるように運動とリンクした代謝調節が行われ、病的心肥大や不整脈が抑制される機構があることが示唆された。続けて、本年度はより価数の多いスペルミジン、スペルミンおよびポリアミン合成阻害剤DFMOをラットに経口摂取させた際の効果を調べた。DFMO1%を摂取させると、成長に伴う体重の増加が著しく減少したが、体重あたりの心体重には大きな変化はなかった。一方、体重あたりの腹膜周囲脂肪重量は、DFMO1%投与により著しく減少した。また、電子顕微鏡像では、DFMO投与群で筋線維の崩壊や異常ミトコンドリア構造が多く観察された。DFMOは、間接的に核酸合成を阻害することとポリアミンによる直接的なタンパク合成促進作用を抑制する結果、全身の筋タンパクや脂肪の合成を押さえるが、循環機能を維持するために必要な最低限の心筋タンパク量は確保されると考えられた。
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