研究課題
本研究の目的は、加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)発症の機序を明らかにするために、筋サテライト細胞もしくは骨格筋から分泌されるサルコペニア発症に関連する物質が分泌される仕組みを温度感受性TRPチャネルに着目し、in vitroおよびin vivoレベルで検討ことである。本年度の目的は、筋分化させた筋管細胞に温度感受性TRPチャネルが局在しているかどうかをin vitroで明らかにすることであった。若齢期(8週齢)および高齢期(24ヶ月齢)の雄のC57BL/6J系マウスの下肢骨格筋より筋サテライト細胞を単離、培養し、細胞の密度が約90%になった時点で、分化培地にして筋管細胞形成を促した。その後、0、2、4、6、12、24、48、72時間の時点で細胞を回収し、RNAを抽出した後に、QRT-PCR法によって温度感受性TRPチャネルの遺伝子発現量を評価した。定量した温度感受性TRPチャネルは、TRPV1、TRPV2、TRPV3、TRPV4、TRPM2、TRPM4、TRPM5、TRPM8およびTRPA1チャネルであった。若齢期の細胞において、すべてのTRPチャネルが筋管細胞形成に伴い培養開始時点(0時間)と比較して有意な増減を示した。一方で、高齢期の細胞においては、 少なくともTRPV1チャネルについては、若齢期のような筋管細胞形成に伴う有意な遺伝子発現量の増加は確認されなかった。
2: おおむね順調に進展している
若齢期における筋管細胞形成中の温度感受性TRPチャネルの発現動態は、in vitroで把握することができた。また、高齢期における温度感受性TRPチャネルの発現動態については、一部ではあるが結果を示すことができた。したがって、進捗区分を(2)とした。
次年度は、高齢期における温度感受性TRPチャネルの発現動態の解析を進め、筋管細胞形成に伴う温度感受性TRPチャネルの発現動態を評価する。さらにその結果に基づき、若齢期と高齢期で違いがあるTRPチャネルに焦点を当て、分泌される因子やその役割(骨格筋量サイズの調節など)また、サルコペニアとの関わりについて検討する予定である。
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Journal of Cellular Physiology
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Journal of St. Marianna University
巻: 6 ページ: 57-67
http://www.marianna-u.ac.jp/physiology/