研究実績の概要 |
今年度は、昨年度開発した講義、eラーニングの2種の教育プログラムの有効性を検証した。 まず講義形式の自殺予防教育プログラムCAMPUS(Crisis intervention, Anti-stigma, and Mental health literacy Program for University Students)については、講義、ゲートキーパー教育、ロールプレイの3つのパートからなるプログラム内容に改変し、本学医学2年生を夏休み前群と夏休み後群の2群にわけて実施した。結果両群とも教育効果は同様に得られ、自殺念慮も低下した。CAMPUSは一定の信頼性、妥当性をもつ有用な教育プログラムであることが確認できた。 次に、eラーニング形式の「こころの危機対応メンタルヘルス・リテラシー・プログラム(Mental Health Literacy program for Crisis Intervention: MHLCI)」の有効性について、インターネット調査会社に委託して142名のモニター大学生に調査を行った。教材を受講してもらい、前後で教育効果、精神状態の変化を測定した。このうち自殺のリテラシーについては、Literacy of Suicide Scale(LOSS)の日本版を原著者の許可を得て独自に作成し、測定に用いた。結果、プログラム受講後にモニター学生の教育効果測定項目はいずれも有意に上昇し、抑うつ気分は低下した。本教材は自殺予防メンタルヘルスリテラシーの改善に有用なことが示された。これらの結果は関連学会で発表し、一部論文化することができた。 本研究では海外の自殺予防プログラムの翻訳導入には至らなかったが、講義形式、eラーニング形式の自殺予防教育教材を開発し、大学生に実施して教育効果、自殺予防効果を確認でき、研究目的を概ね達成した。
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