研究課題/領域番号 |
15K01655
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
上地 広昭 山口大学, 教育学部, 准教授 (60367084)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゲーミフィケーション / 行動変容 |
研究実績の概要 |
本年度は,スマートフォンを活用して,日常の身体活動の増進や健康的な食事の摂取を目指す健康行動変容プログラム「Way of Health」の開発を行った.国内外における従来のICTを活用した健康増進プログラムのうち,約半数がプログラム効果を示すことができなかったとの報告がある.その主原因が参加者のプログラム利用率の低さにあるといわれている.そこで,本プログラムでは,ゲーミフィケーション (Gamification) の原理を応用して,参加者が楽しみながらプログラムに参加できるように工夫を行った.具体的な機能として,①歩数の入力,②体重の入力,③健康行動課題の達成状況のチェック,④ソーシャルネットワーキング・サービス,⑤歩数ランキング,および⑥バッジの表示などが装備されている.また,ゲーミフィケーションの主要素である「ポイント」,「バッジ」,および「リーダーボード」については,以下のように本プログラムの中に取り込んでいる. 1) ポイント:歩数,課題達成状況,およびランキングをポイントに換算した.換算のレートは,歩数100歩=1pt,1課題達成=4pt,ランキング1位=5pt,2位=3pt,3位=2ptとした. 2) バッジ:武道に倣い,累積ポイントに応じて歩数計の色およびWeb画面上の帯の色を変化させた.基準は,白→緑 2000pt,緑→茶 3000pt,茶→黒 5000ptとした. 3) リーダーボード:参加者のうち希望者には,1日ごとの歩数についてのランキングを表示した. なお,本プログラム開発の過程や試行実験結果については,本年度のInternational Behavioral Health Conference (in Hong Kong),第28回日本健康心理学会大会 (東京),および日本スポーツ心理学会第42回大会 (福岡) において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,健康行動変容プログラム「Way of Health」の完成を目標としていた.9月にはプログラムの雛形が完成し,10月には試行を開始した.モニターとして大学院生2名・大学生4名に協力を求め,3ヶ月間,「Way of Health」プログラムを試行させ,種々の問題点(システムエラー,操作の改善点など)を洗い出し修正した.すでに修正も終了しており,来年度よりスムーズに本実験に入れるものと思われる.本実験では,5月-7月にかけて,大学生40名を対象に,本プログラム利用による身体活動および食事に関する行動変容の効果検証を行う.また,スケジュールに余裕ができ,対象者を確保できた場合,来年中(10-12月)に,中高年者を対象とした本プログラムの効果検証も行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,大学生および中高年者を対象に,「Way of Health」プログラムの身体活動および食事に対する行動変容効果について検証を行う予定である.それに際し,中高年者については年々増えてはいるものの必ずしもスマートフォン所持率は高くない.そこで,中高年者を対象とした介入研究では,こちら側でSMIフリー携帯電話を準備し,それを貸し出すことも計画している.SMIフリー携帯電話は,月ごとの通信料の精算が行えるため,スマートフォンを一定期間内だけ使用することが可能である. また,現在完成している「Way of Health」プログラムは,年齢を限定しない汎用的な機能・デザインとなっている.中高年者を対象とした介入では,血圧などの中高年者に特有の指標についても記録できる欄を加えることも検討している.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度,プログラム開発にあたって,当初計画していた予算をオーバーしたため,平成28年度予算から20万円の前倒し請求を行った.しかし,プログラム開発費の不足分は10万程度で済んだため,10万円残る形となった.
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次年度使用額の使用計画 |
来年度から本実験を開始する.その際の参加者への協力謝金などとして使用する予定である.
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