研究課題/領域番号 |
15K01655
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
上地 広昭 山口大学, 教育学部, 准教授 (60367084)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゲーミフィケーション / 行動変容 / 健康行動 / スマートフォン |
研究実績の概要 |
本年度は,ゲーミフィケーションの原理を応用したスマートフォン用健康増進プログラム「The Way of Health」が,参加者の動機づけを高め健康行動を継続させることに貢献できるかについて検証した.本実験では,大学生および大学院生30名(男子8名,女子22名)を介入群、23名(男子17名,女子6名)を統制群として設定した.一日の歩数および健康的な食行動のベースライン測定を一週間行った後,100日間のプログラムを実施した.介入群は,スマートフォン用健康増進プログラム「The Way of Health」を利用して,日常の健康行動(身体活動および食行動)を自己管理した.本プログラムには,1. 歩数の入力,2. 体重の入力,3. 健康行動課題の達成状況のチェック,4. ソーシャルネットワーキング・サービス,5. 歩数ランキング,および6. バッジの表示などが装備されている.また,ゲーミフィケーションにおける「ポイント」,「バッジ」,および「リーダーボード」の要素もプログラムに盛り込まれている.プログラム実施の結果,一日あたりの平均歩数について,有意な介入条件と時系列の交互作用が認められ,介入群ではプログラム中間時点および終了時点において有意な歩数の変化が認められた.また,健康的な食行動尺度の得点についても,介入条件と時系列の有意な交互作用が認められ,介入群はプログラム中間時点および終了時点において有意な得点の増加が見られた.これらの結果から,昨年度開発したスマートフォン用健康増進プログラム「The Way of Health」の有効性の一部が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,健康行動変容プログラム「The Way of Health」の効果検証を計画していた.予定通り,2016年5月から8月にかけて100日間のプログラムを実施することができた.研究結果についても,本プログラムを用いた介入群において,日常身体活動量の増加および健康的な食行動の増加が見られ,本プログラムの有効性を示す極めて順調な結果となった. また,プログラムの実施・評価がスムーズに進み時間的に余裕が生まれた.そのため,来年度に予定していた海外学会での成果発表を早め,The 4th International Conference on Education and Social Sciences (February 21-23, 2017 in Singapore) において本研究成果を報告した.
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今後の研究の推進方策 |
最終の平成29年度も,国内外を問わず多くの学会で広く本研究の成果を発信する予定である.また,それと同時に,今回の実験で明らかになった本プログラムの問題点を洗い出し今後の改善に役立てたい.たとえば,今回のプログラムでは対象者の健康行動に対する準備状態に合わせたテイラード・メッセージを配信できなかったが,これを可能にすればより大きなプログラム効果を生むことが期待できると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,スマートフォンを活用した健康行動変容プログラムを実施しその効果について検証を行った.その際に,対象者が当初予定していた人数よりも少なくなってしまったため謝礼代(図書カード代)が予定額よりも少額になった.その差額分が次年度使用額として生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
最終の平成29年度は,本研究の成果を国内外の学会で発表する予定である.次年度使用額については,その成果報告のための資金に回し,当初の予定よりも多くの学会で成果報告を行う.現時点では,2017年9月8日(金)-10日(日)に静岡大学で開催される日本体育学会第68回大会での発表の追加を考えている.
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