研究課題/領域番号 |
15K01656
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
鎌野 寛 香川大学, 保健管理センター, 教授 (60284337)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学校感染症 |
研究実績の概要 |
学校におけるインフルエンザ感染流行事例のシミュレーションを行った。実際のインフルエンザ感染流行事例におけるインフルエンザ感染治癒者数R(t)について非線形回帰分析を用い,ゴンペルツ関数とロジスティック関数にて解析を行った。分析を実施したインフルエンザ感染流行事例において,ロジスティック関数を用いた非線形回帰分析による分析結果は,AIC = 145.94,R^2 = 0.998,R(t) = 447.4/(1 + 175 × e^-0.64t)であった。そして,ゴンペルツ関数を用いた非線形回帰分析による分析結果はAIC = 163.31,R^2 = 0.996,R(t) = 457.97 × e^(-1939.2 × 0.659^t)であった。これらの結果より,ゴンペルツ関数,ロジスティック関数ともにインフルエンザ感染流行事例をほぼ正確にシミュレートしているが,ロジスティック関数を用いた分析が,より忠実に実際のインフルエンザ感染流行事例をシミュレートしていることが判明した。次に,ゴンペルツ関数とロジスティック関数を用いて,インフルエンザ感染流行開始後何週目においてインフルエンザ感染流行の終了時期を予測できるかを,truncated modelを用いて分析した。ロジスティック関数を用いるとインフルエンザ感染流行開始10週目にインフルエンザ感染流行終了時期を予測出来た。それに対して,ゴンペルツ関数を用いた場合では,10週目ではインフルエンザ感染流行終了時期を予測できず,14週目においてインフルエンザ感染流行終了時期を予測できた。今回,インフルエンザ感染流行の解析のため非線形回帰分析を用いたが,より詳細な解析を行うために,今までとは別の分析手法をとり入れることを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゴンペルツ関数とロジスティック関数により,インフルエンザ感染流行の終了時期を予測できるかをtruncated modelを用いて分析した。われわれが用いたインフルエンザ感染流行事例においてはロジスティック関数を用いた場合,ゴンペルツ関数を用いた場合よりも,より早期にインフルエンザ感染流行終了時期を予測できた。感染流行の分析に非線形回帰分析を用いたが,より詳細な解析を行うために今までとは異なる分析手法を検討している。そのために時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度において感染流行をできる限り詳細に解析するために,今までとは異なる分析手法を用いて解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染流行の分析に非線形回帰分析を用いたが,一層正確な解析をするために新たな分析手法をとり入れることを検討しており,そのために時間がかかっている。そのため次年度使用が生じた。また,新たな分析手法にはいくつか選択肢があり,現在,検討中である。平成30年度,今までとは異なる分析手法のためのソフトウエア購入に費用を要する可能性がある。そして,研究報告のために,消耗品費,旅費,学会参加費等を要する。
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