研究課題/領域番号 |
15K01657
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田山 淳 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10468324)
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研究分担者 |
冨家 直明 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (50336286)
西郷 達雄 北海道医療大学, 心理科学部, 助教 (50622255)
林田 雅希 長崎大学, 保健・医療推進センター, 准教授 (70264223)
小川 豊太 (濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80296186)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 対症包括的セルフマネジメント / 過敏性腸症候群 / 注意バイアス修正法 / コルチゾール / 事象関連電位 |
研究実績の概要 |
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は,消化管運動機能異常,心理的異常,内臓知覚過敏の3つの病態生理を特徴とする。IBS症状である腹痛や腹部不快感は,慢性的にくり返されるため,QOLの低下が顕著である。本研究では,食事療法及び心理療法を組み合わせた対症包括的セルフマネジメント法を27名のIBS有症状者に2ヶ月間(計5回)実施し,その効果を脳腸相関の観点から検討した。介入方法については,IBS治療にて実績のある低糖食ダイエットと注意バイアス修正法のコンビネーション介入を実施した。主な評価項目は,dot-probe taskへの反応時間,唾液コルチゾール,事象関連電位であった。dot-probe taskへの反応時間は,試行回数が増す毎に短縮されることが分かった。介入後のコルチゾールの値は,介入前のコルチゾールの値に比べて有意に低下した(平均値±標準偏差:0.25±0.16 μg/dL vs. 0.19±0.12 μg/dL, p<0.05)ERP注意成分の変化について,注意指標である前頭前野(Fz)のN1振幅が,ABMによる介入後に低くなることが明らかになった。脳のストレス応答ホルモンであるコルチゾールが減少は,視床下部-下垂体-副腎系のノーマライズと関連する。高次脳である前頭前野の神経細胞の発火抑制は,刺激に対する反応性減弱を意味する。今後の課題として,これらの生理的変化とQOLの連関に着目した効果の検討が必要である。本研究の結論として,IBSを対象とした対症包括的セルフマネジメント法により脳の機能的変化を基盤とした注意成分の修正およびストレスホルモンの減少が認められた。
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