本研究では、研究代表者が先行研究で開発したワークライフバランス(work-life balance: WLB)尺度の構成概念妥当性と測定鋭敏性の向上を目指し、WLB尺度改訂版の妥当性・信頼性・適合度の向上後、集団地域作業療法プログラムと当事者参加型アクションリサーチをWLB向上プログラムとして整備発展させ、その普及とともにWLB尺度を加えた一連のプログラム効果評価システムとして構築することを目的とする。 期間の前半は、先行研究で開発したWLB尺度の因子妥当性を見直した。先行研究の尺度を4件法から5件法に変更し、サンプル数を増加して全国で幅広く調査を行い、さらなる信頼性、妥当性、適合度の向上を目指すこととした。また、プログラム効果を敏感に測定するために経時的に調査し(約1カ月半の期間をあけて3回)、その差を検討することとした。平成28年度までに4地域で調査を実施し、114名の対象者の協力が得られ、信頼性、妥当性、適合度を87名の時点で一度検討してみた。この因子分析の結果、今回の5件法を用いた尺度の因子構造は、前回に比べてより明確になった。また、約1ヵ月半の期間をあけて3回調査できた77名の結果の経時的変化を検討すると、「上手に力を抜く」と「わからないことを調べる」の項目が、対象者の変化を敏感に捉えている可能性が示唆された。 期間の後半は、集団地域作業療法プログラムと当事者参加型アクションリサーチを3カ月間のWLB向上プログラムとして整備し、研究デザインは、プログラムを集団で実施する実施群、同プログラム教材を自学自習する対照群を設けた2群間比較とした。当該年度は、統計処理ができるだけの人数の対象者の協力が得られなかったが、3名の対象者が参加し、他の人の考え方を知り,改めて自分の考え方を知り、自分と人や環境が影響し合い、折り合いをつけることを体験することができた。
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