研究実績の概要 |
最終年度の「研究の目的」「研究実施計画」に照らして以下を遂行した。1)本研究では、「フィンランド型」項目が、回答構築式の中の筆記式の方法のひとつである記述式問題、「日本型」項目が、真偽式問題や多肢選択式問題となっている。分析の結果、「フィンランド型」と名付けた項目が実際にフィンランドの保健科の能力を体現しているか否かは別にして、保健の能力を捉えうる可能性が示された。日本語得点の信頼性の高さとフィンランド型保健学力得点との相関、成績のパターンを考えると、日本語力には還元しきれない保健科特有の学力特性をある程度は捉えることができたと推測できる。今後、他の変数も含めて分析することにより、「保健科の学力」のイメージをある程度は実証的に導き出すことが期待される。2)2017年8月、ラッセ・カンナス教授の来日に合わせて、東北大学百周年記念会館川内萩ホールを会場に講演会を開催した。詳細は配布資料集と報告書(保健科教育研究,2018)にまとめた。3)「日本型」項目とは、日本学校保健会(2004) によって作成され実施された項目から抽出した選択式問題12問である。調査は、日本では学力的、地域的に多様な全国14の公私立普通高校の高校2年生を対象に、中国では中国吉林省長春市にある学力水準が概ね上中下に該当する3つの高校で高校1年生と2年生を対象に、フィンランドでは中央スオミ県ユヴァスキュラ市の普通高校2校と職業専門高校1校の高校2年生を対象に実施した。有効回答は、日本では701名、中国では353名、フィンランドでは196名となった。各国の高校の保健科の位置づけは、日本では体育科との合科形態で大学入試科目ではなく、中国では授業自体が存在せず、フィンランドでは独立科目で大学入試科目である。結果、全体平均正答率は、日本51%、中国33%、フィンランド46%であった。詳細は日本保健科教育学会で報告する。
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