研究課題/領域番号 |
15K01663
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
久保田 晃生 東海大学, 体育学部, 准教授 (40547973)
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研究分担者 |
荒尾 孝 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00409707)
松下 宗洋 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (20758594)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 身体活動 / 近隣環境 / 地図情報 |
研究実績の概要 |
介護予防や健康寿命の延伸に身体活動の促進は重要である。そこで、本研究では、身体活動の多寡に影響を及ぼすとされる近隣環境を積極的に利用した、身体活動促進の集団戦略の開発を図ることが主な目的である。また、本研究では身体活動に関連する近隣環境を「知覚・自己申告による環境測度(質問紙・インタビュー調査)」「観察に基づく測度(現地調査)」「GIS(地理情報システム)に基つく測度」から把握する点も特徴である。 1年目にあたる平成27年度は、3つの測度から近隣環境の情報収集を図った。まず、「知覚・自己申告による環境測度(質問紙・インタビュー調査)」では、対象町の中から自治体職員との協議により、人口規模の同じ地区を選定した(介入地区と対照地区)。そして、65歳以上84歳までの方全員(1,947人)に身体活動の状況や身体活動に関連する近隣環境についての質問紙調査を行った。この質問紙調査はベースライン調査の位置付けでもあり、平成29年度にも同様の調査を行い身体活動促進の集団戦略の効果を検証する。また、対象地区の区長、自治体の保健師にインタビュー調査を実施し、各地区の身体活動に関係する情報の収集を図った。「観察に基つく測度(現地調査)」では、実際に介入地区、対照地区を研究組織のメンバーで歩き、身体活動に関係する近隣環境(道路や公園の状況など)を把握した。「GIS(地理情報システム)に基つく測度」に関しては、対象地区の地図情報の取集、タウンページから小売店などの情報収集を図った。さらに、これらの身体活動に関係する近隣環境の情報をもとに、研究組織メンバー、自治体職員、地域住民と平成28年度から実施する身体活動促進の集団戦略について検討した。 今後の予定として、平成28年度は平成27年度の3つの測度から得たデータを活用した身体活動促進戦略を介入地区において実施する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況であるが、これまでの科研費による研究の成果や、研究組織のメンバーや自治体職員との協議により、計画当初よりも対象の焦点を絞ることと、より厳密に身体活動促進の集団戦略の有効性を検証する方向で進めることとした。具体的には、町の保健活動の状況を鑑み対象を65歳以上84歳未満の高齢者に変更した。そして、介入地区と対照地区を明確に設け、介入地区にのみ自宅近隣環境を活用した身体活動促進の集団戦略を実施し、そのの有効性を検討することとした。 平成27年度は計画通り自宅近隣環境を活用した身体活動促進の集団戦略を実施する際に必要となる情報を、3つの測度(「知覚・自己申告による環境測度(質問紙・インタビュー調査)」「観察に基づく測度(現地調査)」「GIS(地理情報システム)に基つく測度」)から収集した。また、研究組織のメンバー、自治体職員、地区住民と自宅近隣環境を活用した身体活動促進の集団戦略について、役割や内容についての協議も計画通り実施できた。 なお、情報収集の時期について、計画よりやや遅れたものの、当初の計画通り3つの測度から情報収集できたことから、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策であるが、平成28年度は2年目にあたり、近隣環境を活用した身体活動促進のための集団戦略を介入地区において実施することになる。具体的には、GISを活用したウォーキングマップを作成し介入地区の全世帯に配布する(月1回)、ウォーキングマップのコースを実際に住民と歩く機会として「歩こう会」を新たに開催する(月1回)、既存の保健活動の内容に身体活動と関連する自宅近隣環境の情報を活用する(不定期)、身体活動の促進を促すポスターを作成し掲示する(不定期)など、研究組織のメンバー、自治体職員、地区住民とともに連携共同で進めていく。 3年目に実施する有効性の評価の調査までは、自宅近隣環境を活用した身体活動促進のための集団戦略の介入期間となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
直接経費の物品費でGIS分析システムの購入を予定していたが、本務先の実験機材費の中で準備可能となったため、その分の費用が掛からなかった。また、対象を絞ったことから、計画よりも調査対象者数がやや減ったため、郵送費用が少し減った点と、本計画に関わる調査研究補助の人件費が、当初の予定よりも短い勤務時間となったことから、その分の費用が掛からなかった。以上の理由で次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本計画の平成28年度は介入地区において、身体活動促進のための集団戦略を実施する予定である。当初の計画では地域の回覧を通じて身体活動促進の情報に関するチラシを毎月伝える予定であったが、介入地区の全世帯(約1100世帯)にチラシを毎月配付することになった。また、身体活動促進の情報に関するポスターの作成など、当初の計画よりも印刷費用等が多く生じるため、それに使用する予定である。
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