研究課題
昨年度に実施したスマートフォン依存スケールの開発とその信頼性及び妥当性を検討するための調査の結果、29項目から成るスマートフォン依存スケール最終版が確定し、因子分析により①離脱症状、②長時間の使用、③スマートフォンによるコミュニケーションの優先、④授業への集中困難、⑤身体症状という5つの因子が抽出された。また、この尺度のCronbachのα係数を算出したところ、0.916という高い値が得られた。さらにスマートフォン依存スケールの総得点が高いほど、平日、休日及び真夜中のスマートフォン使用時間が有意に長かった。これらの結果より、開発したスマートフォン依存スケールの信頼性及び妥当性が検証されたので、「Development of Japanese version of Smartphone Dependence Scale」と題する論文を作成してOpen Journal of Preventive Medicineという国際誌に投稿したところ、掲載された。医学部の1年生約80名に対して、昨年度開発したスマートフォン依存スケール、年齢、性別、学科などの基本的属性、睡眠時間、運動習慣、勉強時間、飲酒習慣などのライフスタイル、スマートフォンの平日・休日・夜間の利用時間、ピッツバーグ睡眠調査票、朝型夜型質問票、ベック抑うつ尺度などから構成される自記式質問紙調査を実施した。また、3名の学生には、Actiwatch Spectrum Plusを1週間装着してもらい、客観的な睡眠・覚醒リズムの測定を行った。対象者数を増やすために、同様の自記式質問紙調査とActiwatch Spectrum Plusの測定を、他大学の学生を対象にして、実施する計画である。
4: 遅れている
研究分担者の所属する大学での調査実施が遅れたため、スマートフォン依存傾向、ピッツバーグ睡眠調査票、朝型夜型質問票、スマートフォン使用状況、抑うつ度等に関する自記式質問紙調査の協力者数が足りなかった。その結果、スマートフォンの使用時間や依存度と睡眠の量・質・位相、夜型の度合い及び抑うつ度との関係の統計学的な分析にまで至らなかった。また、3名の本学の学生についてはActiwatch Spectrum Plusによる客観的な睡眠・覚醒リズムの測定を行ったが、研究分担者の大学での調査が行われていないため、ピッツバーグ睡眠調査票および朝型夜型質問票による自覚的睡眠・覚醒リズムとActiwatchによる客観的な睡眠・覚醒リズムの測定の比較を行うことができなかった。
研究分担者の所属する大学で、スマートフォン依存傾向、ピッツバーグ睡眠調査票、朝型夜型質問票、スマートフォン使用状況、抑うつ度等に関する自記式質問紙調査およびActiwatchを使用した調査を行い、スマートフォン依存度と睡眠の質・量・位相との関係を分析する。また、合わせて抑うつ状態についても自記式質問票を用いた調査を行い、スマートフォン依存度が睡眠および抑うつにどのような影響を及ぼしているかを明らかにする目的で、多変量解析による分析を行う。十分な協力者が得られたら、夜間にスマートフォンを頻繁に使用する群とそうでない群、またスマートフォン依存度の高い群と低い群で、Actiwatchで測定した睡眠・覚醒リズムや睡眠の質、量、活動量を比較し、スマートフォンの夜間における過剰な使用や依存が睡眠にどのような影響を及ぼすかを検証する。加えて、夜間にスマートフォンを頻繁に使用する群とそうでない群、またスマートフォン依存度の高い群と低い群で、抑うつ度を比較し、スマートフォンの夜間における過剰な使用や依存が抑うつの危険因子になるかどうかを検証する。
Actiwatchを数台レンタルする予定だったが、レンタルしなかったために、その費用がかからなかった。またデータ入力にかかる謝金も予定していたが、データ入力を行うところまで進行しなかったため、データ入力の費用が生じなかった。さらに研究分担者が分担金を一部しか使用しなかったために次年度に繰り越した額も存在する。
研究打ち合わせや成果発表のための旅費、データ入力に対する謝金、英文論文校閲、論文掲載料に使用する計画である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
International Medical Journal
巻: 24 ページ: 34-38
Journal of St Marianna Medical Institute
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Open Journal of Preventive Medicine
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