研究実績の概要 |
諸外国と生活環境の異なる日本の幼児では、諸外国とは異なる環境要因と身体活動量との関係がみられるものの(田中ら,2011)、座位時間と自宅周辺の環境要因との関係については不明であった。そこで、平成29年度は、日本人の小学生を対象に、日常生活における座位行動と近隣環境との関係を検討した。対象者は、東京都および京都市内の14校に通う小学1~6年生の男女374名であった。日常生活における座位行動(1.5メッツ以下)に要した時間を、日本製の3軸加速度計(Active style Pro HJA-350IT)を用いて7日間にわたり評価した。自宅近隣環境については、国際標準化身体活動質問紙環境尺度日本語版(Inoue et al.,2009)を用いて児童およびその保護者に尋ねた。また、身長および体重を計測し、Body Mass Index (BMI)を算出した。性別、学年、BMIのz得点、世帯、学校を調整した結果、座位行動時間の割合は、バス停、駅などが自宅から10-15分以内にあるほど有意に低く、車やバイクの所有台数が多いほど有意に低かった。日本の小学生において、日常の座位行動は、自宅近隣環境と関係のあることが明らかとなった。自宅近隣のバス停・駅の有無および車やバイクの所有数と有意な関係が見られたことから、身体活動推進のためにこれらの環境を整える重要性が示唆された。研究期間全体を通して、先ず、日本製の3軸加速度計および国外の大規模調査で用いられている姿勢計 (activPAL)で得られた座位時間との間には、有意な正の相関関係がみられた。更に、日本製の3軸加速度計に最適なepoch lengthを明らかにした上で、男女共に、中休みの座位時間は清掃時間より有意に長かったこと、かつ、男子の中休みと昼休みの座位時間の割合は、女子より低かったことを明らかにした。
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