近年、世界中で高齢化が進んでいる中、特に日本は世界一の長寿国として注目されている。本研究では、加齢によって急増する高血圧の関連遺伝子と高齢者の健康維持との関係を解明すること、百寿者の食生活を調査し、長寿者に共通する要因を明らかにすることを目的としている。前年度までに、70歳代~80歳代の方々を対象とした身体計測と健康状態の調査を行い、健康長寿との関連を検討するとともに、自宅および福祉施設で生活をされている百寿者へ食生活を中心とした生活習慣調査を行った。 最終年度である本年度は、年代だけでなく、地域差も加味して健康長寿の共通要因の検討を行った。その結果、地域や年代が異なっていても、共通する食生活(肉・魚・野菜・乳製品の摂取状況)や日常生活(運動をよくしていたこと、趣味がある)が健康長寿の重要な要因となることが明らかになった。しかし、関連研究と一致しない結果を示した要因(間食の嗜好および対人関係)もあるため、さらなるデータの蓄積が必要であると考えている。年代の差については、古希から百寿の方までを対象として比較したが、いずれの場合も成人期までの食生活が健康長寿と関連することが示唆された。これと並行して解析した高血圧および動脈硬化関連遺伝子多型の遺伝子型情報に基づいて、生活習慣病予防のための食生活教育を成人期から実施することが健康長寿の実現につながると考えられた。
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