研究課題
肥満症外科治療によって長期的な体重減少はもとより、糖尿病や睡眠時無呼吸などの合併疾患の臨床的治癒や改善といった効果がもたらされているが、それだけにととまらず、高度肥満症者の自尊感情やQOL、認知機能(注意・記憶・セットシフティングなど)の改善も見込まれることが欧米の調査で報告されている。しかしながら、わが国において肥満症外科治療による認知機能と報酬系脳活動および脳形態の関連性について未だ報告がなされていない。そこで本研究では、外科治療群(実験群と外科治療未実施群(統制群)をそれぞれ20名ずつリクルートし、抑うつや不安など心理面を査定するために数種類の自記式質問紙、神経心理検査、そしてfMRI検査を、①ベースライン、②ベースラインから6ヵ月後、そして③として、①から18ヵ月後の計3時点で行うことを目的とし、研究を進めている。前年度までの進捗状況から、当初、認知機能検査とfMRIをセットで実施予定であったが、肥満症対象者の中には過体重によって長時間fMRI装置で同じ姿勢をとることが困難であったり、あるいは体内に金属器具が入っていてfMRI検査が行えなかったりというケースが散見されたことから、この場合、認知機能検査とfMRI検査をセットにせず、別々に行えるよう柔軟に対応した。その結果、当該年度の実施状況は、外科治療群では①~③が終了したのは2名、①③が終了したのは2名、①②が終了したのは3名、そして①のみで後の検査を辞退したのは1名であった。一方、外科手術未実施群では、①②を終了したのは7名であった。
4: 遅れている
1.来院する肥満症患者数が年々減少傾向にあること、一方、外科手術適応ケースを決める段階において、多職種によるチームでの話し合いで、対象者が手術適応かどうかを慎重に検討しているため、予定していた被験者数がそれほど増えていない。2.仮に手術適応になったとしても、過体重などの肥満症患者特有の理由から、研究課題でもあるfMRIによる調査が行えなかった。
できるだけ実験群および統制群の被験者をリクルートし調査継続する。
肥満症外来受診者の減少に伴い、研究対象者である肥満症外科手術適応者が集まらなかったことが考えられ、それによって、統制群のリクルートも見合わせた結果、研究対象者に支払うべき謝金が抑えられ、次年度使用額が発生した。
実験群、統制群の研究対象者を引き続きリクルートし、その謝金に充てる。またデータ解析用のパソコンおよびソフトウェアの購入や旅費などに充てたりする予定である。
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Psychiatry and Clinical Neurosciences
巻: 71 ページ: 124-134
10.1111/pcn.12490
http://www.m.chiba-u.jp/class/clin-cellbiol/research/contents/disaster.html