SNP(遺伝子多型)が糖尿病や高血圧などの生活習慣関連疾患の発症に与える影響について研究が実施されている。本研究では、日本の一般人において大規模かつ長期間にわたる縦断調査を行い、糖尿病発症に関する遺伝子多型について、健診結果(HbA1c)への影響とともに、糖尿病発症の関連についての横断調査と縦断調査、さらに従来検討してきた遺伝子多型の組み合わせと糖尿病発症の関連性について、毎年の健診結果を補正しつつ、予防医学的、縦断的に評価するものである。本年度は、昨年度から引き続き対象者に関し、平成27・28年度の健康診断時の年齢、既往歴、家族歴、生活習慣、身体計測値、血圧測定値、および尿、血液の測定結果を会社の健康管理センターにてコンピュータに入力し、平成28年度のデータベースと結合した。また、平成27年度までの退職した対象者について、対象事業所のスタッフの協力のもとにカルテ調査による追跡調査を実施した。遺伝子多型の測定に関しては、新規多型であるAnkyrin1(ANK1)の遺伝子多型(rs515071)の測定を実施した。Ankyrin1(ANK1) rs515071 (T/C型)について、男性1191人、女性1459人の測定が終了した。男性では、CC型は943人(64.6%)、TC型447人(30.6%)、TT型69人(4.7%)であり、女性では、CC型は785人(65.9%)、TC型357人(30.0%)、TT型49人(4.1%)であった。現在、これまで測定してきたAdipoR2遺伝子多型、BRAP遺伝子多型などの結果をあわせ、生活習慣との交互作用を含めて、糖尿病の発症について横断的、さらに縦断的にも関連性の検討を進めている。
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