研究課題
本年度は、以下の①キンギョのエキソーム解析と②高でんぷん飼料の作製と給餌条件の検討開発を行った。①キンギョのエキソーム解析(担当:北村、鈴木、池亀、本多)タカラバイオの受託サービスを利用し、キンギョのDNAライブラリーを作成した(シークエンス数157,527,867)。キンギョの塩基配列と非常に相同性の高いゼブラダニオの最新のエクソン部分配列をEnsemblのゲノムデータベースからダウンロードし(Ensembl Zebrafish GTFファイルから作成したエキソーム数:53,697)、そのCSVファイルを作成した。マッピングツールbowtie2を利用し、分担してゼブラのエクソン配列とキンギョのDNAライブラリーの相同性からキンギョのエクソン配列を同定した。タカラバイオのシークエンス解析が完全ではなかったので、マッピングは完璧ではなかったが、部分的に扱えるエキソームも含めるとほぼ全て(53,697)のエキソームがキンギョでも扱えるようになった。②高でんぷん飼料の作製と給餌条件の検討開発(担当:北村)市販の米粉(水分約14.5%、デンプン約70%)を4倍の水道水と共に炊飯器で粥状にし、市販のキンギョ用飼料(テトラフィン、テトラジャヤパン)を、米粉粥20mlにつき1.0gの割合ですり潰して加え、飼料とした(水分約83%、デンプン約14%)。作製した飼料は凍結保存し、給餌前に解凍・加温して50mlシリンジに入れ1回に50μl/g-体重を給餌することにした。この給餌量で経口投与の血糖値を市販のグルコース測定キット(グルコースCⅡ-テストワコー)を用いてムロターゼ・GOD法で血糖値を測定したところ、給餌後6~8時間まで血糖値が空腹時の5倍(197.4±49.5(mg/dl))まで上昇することを確認した。
2: おおむね順調に進展している
キンギョのエキソーム解析が終了したので、まだシークエンス確認しながらではあるが、現在キンギョでも注目する遺伝子全ての遺伝子発現解析ができるようになった。高でんぷん飼料の作製と給餌条件が決まったので、①対照群(でんぷんを含まない市販飼料で運動無制限)、②高でんぷん含有飼料で運動無制限群、③高でんぷん含有飼料で運動制限群の3条件での数か月に及ぶ長期飼育を開始した。長期飼育開始直前に各群のキンギョから必要枚数ウロコを抜去して飼育しているので、抜去されたウロコはそれぞれの条件(高血糖や運動制限)下で再生している。1ケ月ごとに再生ウロコを採取・冷凍保存(-80℃)し、8ケ月間の長期飼育を実施中である。長期飼育終了後に採取した再生ウロコを利用してマーカー遺伝子発現、マーカー酵素活性、および基質コラーゲンタンパクの性状を調べる準備中である。基質コラーゲンタンパクの性状の1つである機械的特性に関して現在ウロコからコラーゲン繊維を抽出し、それを型に流し込んで凍結乾燥したコラーゲン棒を使った圧力強度試験を検討している。以上より当初の予定通り研究は進んでいる。
以下の4点の課題について順次推進する。①高でんぷん含有飼料と運動制限下での8ケ月間の長期飼育と1ケ月ごとの再生ウロコサンプルの採取・冷凍保存(-80℃)の継続実施②8ケ月間の長期飼育後、保存再生ウロコサンプルの骨代謝状態をマーカー遺伝子発現とマーカー酵素活性の測定③基質コラーゲンタンパクの機械的強度と弾性率の具体的計測手法の確立④高血糖状態が及ぼす骨代謝への影響と運動(遊泳)による高血糖の影響改善の定量化
研究分担者の池亀氏の物品購入額が支出予定額よりも低かったため、わずかながら残金が発生した。
池亀氏には、今年度分の予算と合わせて研究用試薬の購入費として使ってもらう予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 9件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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