研究課題/領域番号 |
15K01705
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北村 敬一郎 金沢大学, 保健学系, 教授 (80283117)
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研究分担者 |
鈴木 信雄 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (60242476)
池亀 美華 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70282986)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖尿病 / キンギョ / 高でんぷん含有飼料 / 骨代謝 / 再生ウロコ / コラーゲン線維 / 糖化 / 運動 |
研究実績の概要 |
本年度は、以下の①~③項目の検討を行った。 ①再生ウロコの遺伝子発現・タンパク・形態学的解析(in vivo)(北村, 鈴木, 池亀, 本多)8ヶ月間継続して高デンプン含有飼料を経口投与されたキンギョ群と対照群の再生ウロコの骨代謝マーカー遺伝子のmRNA発現とマーカー酵素活性に有意差は見られなかった。また、酒石酸耐性酸性フォスファターゼ(TRAP)染色した再生ウロコのTRAP陽性部分の面積比(TRAP陽性面積/再生ウロコ面積)も両群で有意差はなかった。 ②再生ウロコ線維層コラーゲンの繊維間架橋量の解析(in vivo)(北村・池亀)継続して高デンプン含有飼料を経口投与されたキンギョ群と対照群の、2ヶ月後、4ヶ月後、6ヶ月後、8ヶ月後の再生ウロコからⅠ型コラーゲンを抽出した。抽出したⅠ型コラーゲンをSDS-PAGE泳動してα鎖に対するβ鎖およびγ鎖の存在比を定量した結果、4ヶ月後以降でβ/αおよびγ/αの割合が高デンプン含有飼料群で有意に増加した。したがって、高デンプン含有飼料群の再生ウロコのⅠ型コラーゲンでは、繊維間架橋量が有意に増加していることが示唆された。 ③糖化コラーゲン線維間架橋量と機械的強度との関係(in vitro)(北村)再生ウロコ由来のⅠ型コラーゲンに0.1Mグリセルアルデヒドを10%混和してから5、12、24、48時間後の各コラーゲン溶液のSDS-PAGE泳動を行った。その結果、12時間以降では特にγ鎖分画やそれ以降の高分子量分画が増加していた。また、この条件で、12時間以降のグリセルアルデヒド添加サンプルのコラーゲン線維圧縮強度試験を実施した結果、降伏応力において、対照と比較し48時間後サンプルで有意に低下していた。したがって、糖化Ⅰ型コラーゲンでは、その硬度や変形率(柔軟性)が低下することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度の計画通り現在までに、①再生ウロコの遺伝子発現・タンパク・形態学的解析と②再生ウロコ線維層コラーゲンの繊維間架橋量の解析と③糖化コラーゲン線維間架橋量と機械的強度との関係評価の検討を行った。その結果、骨代謝自体には有意な変化はなかったものの、高デンプン食(高血糖)群では、対照群に比較し、骨基質のⅠ型コラーゲンタンパクへの糖化およびその結果としてコラーゲン線維間架橋が増加していることとコラーゲン繊維の機械的強度の低下を示した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、高デンプン餌で飼育したキンギョを、キンギョ用遊泳負荷システムを使って定量的に遊泳負荷した運動群と静止安静群に分け両群の間で遺伝子・タンパク・形態学的解析およびコラーゲン線維間架橋割合を調べ運動による効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定額と実際の納入額との差があるため生じた差である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の予算と合わせて遺伝子発現解析用キット・試薬やプラスチック器具類の購入費、および研究発表のための旅費として使用予定である。
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