研究課題/領域番号 |
15K01706
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山次 俊介 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (40311021)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 加齢・老化 / 転倒予防 / 軽度認知障害予防 / デュアルタスク |
研究実績の概要 |
本研究では、日常生活自立高齢者(介護一次予防高齢者)を対象として、軽度認知障害(MCI)とロコモティブシンドローム(ロコモ)・転倒予防を同時に改善できる有効なエクササイズや評価方法を開発、及びその予防効果の検証を目的とした。 本年度は、昨年度に引き続き、課題1の新規統合エクササイズの開発、及び課題2のエクササイズによるMCI、ロコモ・転倒予防効果について検証を行った。課題1について、昨年度開発した指示されたカラーマットを選択して歩行する二重課題(選択10m歩行)に、音刺激に素早く応答する課題(音反応+選択10m歩行)を付加して行った。その結果、音反応+選択10m歩行の試行間信頼性は男性0.75,女性0.72と良好であり、選択10m歩行と同等の信頼性が認められた。ただし、Bland-Altman plotの結果、試行間誤差には加算誤差(1試行>2試行)及び正の比例誤差が認められた。強疑MCI(MoCA得点19点以下)と易転倒性群(DERAによる転倒ハイリスク判定)は、テスト結果が劣るとともに試行間誤差が大きい傾向が窺えた。特に、音刺激に応答できないエラー回数は、MCI得点が低くなるとともに多く出現した。つまり、選択10m歩行よりも音反応+選択10m歩行の方が、MCI高齢者を判別できる可能性を示唆した。 課題2について、6か月間の週3回以上(1回30分)のウォーキング実践群と週1回のラダーによる歩行エクササイズ群でMCI・転倒関連体力の改善効果を検証した。その結果、両群とも膝伸展筋力、ファンクショナルリーチなどの改善は認められたが、転倒回避能力である敏捷的なクロスステップ(CSFT)や股関節前後移動距離は、ラダー歩行エクササイズ群のみが改善した。また、認知機能水準は両群とも有意な変化は認められなかった。今後、さらに効果検証を進めるためにMCI予防エクササイズ群の設定し、検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度は、さらに新たなエクササイズ課題の開発に取り組み、計画どおりに測定を定期的に実施できたことで、対象者に対するエクササイズの難度、理解度の問題の整理が進んだ。また、効果検証については、対象者の脱落バイアスの問題も残されるものの、概ね順調に進んでいる。また、測定機器についてもプロトタイプ機器の作成、予備測定後の改善が完了し、29年度の測定も計画通りに実施できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる29年度も、計画通りに測定を進め、サンプルサイズを大きくし、データの精度を高める。また、効果検証、予防効果の測定も各自治体と連携をとりながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
開発した機器の改善を実際に測定を実施しながら行っており、最終的な改善を29年度に持ち越したこと、及び介入地の都合から効果検証の順序を入れ替えて行ったことから、使用経費に違いが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の機器の改善費、および効果検証のための経費は、5月~11月、および8~9月の測定において使用する予定である。
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