本研究では、細菌感染による炎症応答および炎症関連大腸癌発症におけるGADD34の機能について解析した。その結果、GADD34はLPSにより活性化されるIKKβの脱リン酸化を促進し、マクロファージによる炎症性サイトカイン産生を抑制することで、LPSによる組織傷害を抑制することが明らかとなった。一方で、AOM/DSS誘導性の炎症関連大腸癌発症においては、GADD34は大腸組織においてDSSによるIL-6産生、またIL-6/STAT3経路の活性化による上皮細胞の増殖を促進し、DSS誘導性の大腸炎及びそれに起因する大腸癌発症を促進することが明らかとなった。
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