研究課題/領域番号 |
15K01710
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池添 冬芽 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10263146)
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研究分担者 |
市橋 則明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50203104)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロコモティブシンドローム / 地域在住高齢者 / 運動機能 / 姿勢アライメント / 動作能力 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究目的は地域在住高齢者のロコモティブシンドローム(ロコモ)と運動機能、姿勢・動作能力との関連性について明らかにすることとした。 対象は地域在住の健常高齢者279名(男性118名、女性161名、年齢71.0±4.9歳)とした。ロコモは質問紙(ロコモ25)を用いて調査した。運動機能の評価について、下肢筋力は股屈曲、股伸展、股外転、膝伸展、足趾屈曲筋力、バランス機能は安静開眼閉脚での重心動揺、開眼片脚立位保持時間を測定した。姿勢アライメントはSpinal Mouse(index社製)を用いて安静立位時の胸椎および腰椎後彎角度を評価した。動作能力として通常歩行速度、最大歩行速度、5回立ち座り時間、Timed Up & Go、30秒段差昇降回数を測定した。ロコモ25のスコアは9.1±10.7点(0~60点)で、ロコモと判断されるカットオフ値の16点以上であった者は44名(15.8%)であった。ロコモ25を目的変数、ロコモ25と有意な相関がみられた項目および年齢・性別を説明変数とした重回帰分析を行った結果、ロコモ25に関連する因子として抽出されたのは重心動揺、片脚立位保持、腰椎後彎角度、段差昇降、性別であり、重心動揺、腰椎後弯が大きいこと、片脚保持時間、段差昇降回数が少ないこと、女性であることがロコモのリスクを高める因子であった。 本研究の結果、ロコモには下肢筋力よりもバランス機能が関連し、姿勢・動作能力のなかでは腰椎アライメントや段差昇降能力が関連していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は地域在住高齢者のロコモティブシンドローム(ロコモ)と運動機能、姿勢・動作能力との関連性について明らかにすることを目的として研究を実施した。ロコモティブシンドローム(ロコモ)の評価には質問紙(ロコモ25)を用い、ロコモに影響を及ぼす因子について検討した結果、バランス機能や腰椎アライメントや段差昇降能力が関連していることが示唆された。しかしながら、運動機能や動作能力以外の因子、例えば精神機能や心機能、呼吸機能、栄養状態がロコモに及ぼす影響の検証については今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は地域在住高齢者のロコモティブシンドローム(ロコモ)に影響を与える因子について多角的に評価し、構造方程式モデリング(以下、SEM)を用いて直接的・間接的な影響について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の研究目的は地域在住高齢者のロコモティブシンドローム(ロコモ)と運動機能、姿勢・動作能力との関連性について明らかにすることであり、本研究目的は達成したものの、対象者数は当初予定していた人数よりも少なかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の研究においては対象者数が少なかったため、対象者数を増やして追加検証するとともに、平成28年度の研究を推進する予定である。
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