2型糖尿病患者における階段昇降運動の血糖降下作用について、持続血糖モニタリングシステムを用いた検証を行った。対象は糖尿病合併症がない2型糖尿病患者7名とし、階段昇降運動の実施日(運動日)と非実施日(安静日)の24時間血糖値を比較した。運動日、非運動日とも経口血糖降下剤の服用は継続し、食事は3食とも糖尿病用試験食(1570カロリー/日)を摂取させた。階段昇降運動は各対象者の自宅の階段を用いて行い、1階から2階まで(13~15段)を8~10往復する3分間の運動を1セットとし、毎食後60分と120分に2セットずつ実施するよう指示した。昇段速度は自覚的運動強度が中強度(Borg指数で11~13レベル)となるように自己調節させた(80~110 段/分)。降段速度は自由とした。血糖測定は朝食開始時から24時間連続で行った。その結果、各食前の空腹時血糖値は両日で差がなかったが、運動日の24時間平均血糖値と24時間血糖面積(area under the curve:AUC)は、安静日に比して、それぞれ11%(P < 0.01)、12%(P < 0.01)低値を示した。また、昼食後4時間及び夕食後4時間の血糖面積、朝食後4時間及び昼食後4時間の増加血糖面積(incremental AUC)も、運動日は安静日に比して有意の低値を示した(いずれもP < 0.05)。さらに運動日の高血糖暴露時間(血糖値180 mg/dL以上の総時間数)は、安静日に比して52%短縮した(P < 0.05)。以上より、2型糖尿病患者において、毎食後60分と120分に3分間の階段昇降運動を2セットずつ行うことで、24時間にわたる血糖コントロールの改善が得られる可能性が示された。
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