研究課題/領域番号 |
15K01713
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
増田 大作 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教 (20568753)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レムナント / apoB-48 / 脳塞栓 / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
平成28年度はB. CM-R蓄積は動脈硬化イベントの発症および進行にどのような影響を与えるか、の検討およびC. 今まで分離できなかったCM-R粒子が有する動脈硬化惹起性についての直接的な検討、を進めた。 心原性脳塞栓症は脳梗塞のなかでも他の病型に比し重症であるが、経験的には動脈硬化性の背景を有することは少ない。心電図にて心房細動を指摘することが診断の上で重要であるが心電図変化が一過性で診断に苦慮することも多いため心電図検査を補完する検査としてアポ蛋白(apo)B-48を脳梗塞症例(97例)で測定し検討した。入院翌朝の血液検体にてT-Cho、TG、HDL-C、LDL-C、non HDL-C、apo B-48濃度を測定し、脳卒中病型と比較した。結果として、心原性脳塞栓症におけるapo B-48は、非心原性脳塞栓症よりも低値であり(average apoB-48; 2.1 vs 3.8 μg/mL, p=0.019) 、1.25μg/μLをカットオフ値とすると、心原性脳塞栓症と非心原性脳塞栓症の鑑別に有用であった(感度81%、特異度57%、AUC 0.70)。このことからapoB-48は、脳梗塞における病型分類に有用である可能性が示唆された。 さらに、正常コントロールおよび耐糖能異常、糖尿病症例から脂肪負荷後に抗アポB-48モノクローナル抗体により分離したアポB-48含有リポタンパクの評価を進めた。分離リポたんぱくは小粒子カイロミクロンから大粒子LDLまでの様々なサイズを有するレムナントの集合であり、マウス腹腔マクロファージと共培養すると泡沫化が可能であり動脈硬化惹起性を有していた。さらに多くのアポ蛋白のみならずC3,C4が含まれておりPON-1も有していた。またこれらの補体は脂肪負荷に伴い産生が増加し小腸由来のレムナントの炎症に深く関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前に研究計画に設定した3項目のうち第2、3項目である「B. CM-R蓄積は動脈硬化イベントの発症および進行にどのような影響を与えるか」「C. 今まで分離できなかったCM-R粒子が有する動脈硬化惹起性についての直接的な検討」に関して、いずれも結果を得ることができた。特に、脳梗塞に関しての有用性に関しては今まで報告されていなかった脳血栓の判定にも有用と考えられ今後の発展が期待される。また直接的な検討においても結果を得ることができており、最終年度に向けて総括が可能であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
事前に予定した通りに3項目それぞれについて結果を得ることができており、現在未完の内容について検討を進めている。臨床研究に関してもすでに大半は終了しており、解析し海外学術論文への投稿を進めていく。同様の研究をこれまでも進めており特に課題等の発生の可能性は低いものと考えている。
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