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2016 年度 実施状況報告書

生活習慣病におけるアポE含有HDLの役割

研究課題

研究課題/領域番号 15K01715
研究機関岡山大学

研究代表者

臼井 真一  岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (50346417)

研究分担者 廣畑 聡  岡山大学, 保健学研究科, 教授 (90332791)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードリポ蛋白 / アポリポ蛋白E / HDL / 肥満 / 脂肪細胞
研究実績の概要

1.アポE含有HDL(アポE-HDL)の抗肥満作用について,マウス由来の前駆脂肪細胞(3T3-L1)を用いて検討した。細胞培養実験に用いるアポE-HDLは前年度に確立した方法にて精製した。精製アポE-HDLを3T3-L1細胞の分化誘導時に培養液中に添加し,オイルレッドO染色による細胞内脂肪蓄積量を比較したが,アポE-HDL添加による脂肪蓄積抑制作用は観察されなかった。しかし,アポE-HDLを3T3-L1細胞分化誘導後に4日間添加すると,HDL無添加よりも脂肪蓄積が抑制されている傾向が観察された。現在,実験の再現性を確認している。
2.前年度の検討でob/obマウスの血清アポE-HDLが増加していたため,肝における脂質代謝をmRNAレベルで解析した。その結果,ob/obは野生型に比べLXRやSR-BIの発現が高い傾向が観察された。現在再現性を確認している。
3.これまで検討を行ってきたアポE-HDLコレステロール測定法を改良し,臨床検体の分析が可能な測定系を確立した。すなわち,全血清からポリエチレングリコール沈殿法により全HDLを分離した後,陽イオン交換カラムによりアポE-HDLとアポE非含有HDLに分離し,コレステロールを定量した。健常者では全HDLのおよそ4%がアポEを含有しており,アポE-HDLコレステロールとアポE非含有HDLコレステロールの間に有意な正の相関があった。冠動脈CT受診者の分析では,アポE-HDLコレステロールは冠動脈疾患群と非疾患群の間に有意差は認められなかった。しかし,アポE-HDLコレステロールはアポE非含有HDLコレステロールよりも,LDL粒子径,トリグリセリド,アディポネクチンと強い有意な相関があった。これらの結果から,アポE-HDLはアポE非含有HDLよりも脂肪細胞における代謝や動脈硬化惹起性の脂質プロファイルに関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞培養実験は,使用する精製アポE-HDLの回収率が低く時間を要しており,やや遅れている。しかし,臨床検体を対象としたアポE-HDLコレステロールの測定法やその測定意義に関する研究成果が論文としてまとめることができたことから,全体としてはおおむね順調であると判断した。

今後の研究の推進方策

細胞培養実験は前年度に引き続き実施していくが,細胞の種類を変更するなどしてアポE-HDLの機能(抗肥満作用,グルコース取り込みに与える影響など)を検討する予定である。また,細胞に対するアポE-HDLの作用メカニズムを検討するために,アディポカインや炎症性サイトカインなどのmRNA発現解析を行うことを考えている。これまでの実験でアポE-HDLの蛋白組成は電気泳動で確認しているが,アポE-HDLとアポE非含有HDLの蛋白組成の違いをより明確にするために,質量分析計での解析も予定している。

次年度使用額が生じた理由

本年度に予定していた培養実験の一部(グルコース細胞内取り込みに関する検討)を複数回実施することができなかった。このため,試薬消耗品の購入が生じなかった。

次年度使用額の使用計画

平成29年度も引き続き,細胞培養実験を中心に研究を実施する予定であり,平成28年度の未使用額は培養関連試薬の購入にあてる。平成29年度分の助成金は,リポ蛋白精製試薬,培養細胞関連試薬,RNA分析試薬,生化学分析キット,研究成果発表の旅費等に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] A rapid and precise method for measuring plasma apoE-rich HDL using polyethylene glycol and cation-exchange chromatography: a pilot study on the clinical significance of apoE-rich HDL measurements.2017

    • 著者名/発表者名
      Ikeda T, Shinohata R, Murakami M, Hina K, Kamikawa S, Hirohata S, Kusachi S, Tamura A, Usui S
    • 雑誌名

      Clin Chim Acta.

      巻: 465 ページ: 112-118

    • DOI

      10.1016/j.cca.2016.12.016

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] LDL particle size associates with apoE-containing HDL in patients who undergo coronary computed tomographic angiography.2016

    • 著者名/発表者名
      Shinohata R, Ikeda T, Murakami M, Hina K, Kamikawa S, Hirohata S, Kusachi S, Nakajima K, Ikeda S, Usui S.
    • 学会等名
      68th AACC Annual Scientific Meeting & Clinical Lab Expo
    • 発表場所
      Philadelphia(America)
    • 年月日
      2016-08-03 – 2016-08-03
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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