研究課題/領域番号 |
15K01718
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
島ノ江 千里 佐賀大学, 医学部, 助教 (10734064)
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研究分担者 |
松本 明子 佐賀大学, 医学部, 講師 (10330979)
田中 恵太郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (50217022)
西田 裕一郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (50530185)
原 めぐみ 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90336115)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バイオマーカー / DNA 酸化損傷 / ストレス対処行動 / 社会的支援 / 高感度CRP / 炎症サイトカイン増幅因子 / 抑うつ / LCMS/MS |
研究実績の概要 |
29年度は、母体コホートの10年後調査も順調にすすみ、約90%以上の対象者について、郵送調査、電話調査を終了した。新たな罹患の自己申告のあった対象者については、カルテ調査による確認をすすめており、本研究では精神ストレス、バイオマーカー、疾患との関連を検討するための基盤を構築できた。さらに、大規模な疫学研究でグルココルチコイド活性を測定するために、凍結時間、測定時間などの問題を回避するLCMS/MS による測定方法を開発した 【Journal of chromatography. B、2017】。この手法を用いて、約5000 名の尿のグルココルチコイド活性の測定を終了し、平成30年度にはすべての対象者の測定が終了する。
研究期間全体での成果として、うつ病、がん、循環器疾患との関連が報告されているDNA 酸化損傷マーカー(8-hydroxy-2'-deoxyguanosine)と自覚ストレスに正の関連があり、その関連には身体不活動が介在する可能性を明らかにした【Psychosomatic Medicine, 2018】。また、2014 年に見つけた循環器疾患のリスクマーカーでもある炎症マーカー(高感度CRP)とストレスの負の関連は、縦断的な検討でも再現され、この関連はストレス防御因子であるストレス対処行動や社会的支援により異なっていた【Stress, 2018】。
グルココルチコイド類の測定方法を確立する過程で、反復ストレスと抑うつに介在する炎症サイトカイン増幅因子のPGE2 を測定できる知見が新たに得られ、本研究で測定したバイオマーカーとメチル化との関連をエピゲノムワイド関連分析により検討する機会を得た。したがって、本研究の成果を基盤とし、精神ストレスマーカーとして応用可能なDNAメチル化を探索することで、環境要因と遺伝要因にバイオマーカーを組み合わせた分子疫学研究に展開する。
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