解糖系酵素であるGAPDHは、心筋由来H9c2細胞株においてインスリン刺激依存的なリン酸化やニトロ化に伴いその酵素活性が亢進するが、本研究において糖尿病発症ラットではGAPDHのニトロ化、リン酸化の亢進がされずシグナル伝達が破綻している可能性が示唆された。またニトロ化修飾を受けるGAPDHのTrp残基をPheに置換した変異体を用いた実験において、インスリン刺激後のGAPDHのリン酸化の亢進が見られなかった。細胞内シグナル伝達への関与に不明な点が多いタンパク質のニトロ化修飾が、本研究の知見により、シグナル伝達の制御に本質的な役割を果たしている可能性が示唆された。
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