研究課題
本研究では、本仮説の鍵分子Lipin1の機能をさらに明らかにし、不活動により生じる骨格筋の障害をLipin1を中心に包括的に改善する可能性とその応用法を提示することを目的として計画を立案した28年度は以下の3点に焦点を当て研究を遂行した。① in vitro, in vivoで、遺伝子導入の実験系によりLipin1の機能解析を行い、不活動が骨格筋の「量」と「質」に影響を与える詳細な分子メカニズムを解明する。② ヒトにおける不活動時のLipin1やDAG、インスリン抵抗性の動態について検討し、ヒトにおいての整合性を確認する。③ 明らかとなった分子メカニズムから、不活動による筋萎縮・インスリン抵抗性発生に対する予防法を検討する。具体的には、Lipin1の活性を指標とした運動様式や薬物介入などについて検討する。以上の点について検討してきた結果、①について、Lipin1が骨格筋細胞内DAG蓄積を介するインスリン抵抗性のみならず、高齢期の筋量低下の原因の一因ともいわれるMyostatinの発現量を増加させる可能性が示唆され、Lipin1が不活動時の骨格筋の「量」と「質」双方に影響を与えている可能性が示唆された。また、②については、ヒトにおける不活動時モデルとしての24時間ギプス固定モデルにおいて、骨格筋細胞内DAGの蓄積量とLipin1の発現量が増加しており、マウスで確認された不活動時のLipin1,DAGの動態がヒトにおいても同様に存在することが確認された。
2: おおむね順調に進展している
本研究の当初の目的の一つであったヒトにおける検証などが順調に進んでいるため。
平成29年度は薬剤誘導型Lipin1 骨格筋特異的トランスジェニックマウスを作製し、ヒトでの結果とマウスの実験データとの整合性を検討しながらメカニズムの仮説の検証を行う。さらに、推定されたメカニズムに関連する予防法についてヒト、マウスでの検討を行う。具体的には、Lipin1の活性を指標とした運動様式や薬物介入などについて検討する。
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