研究課題
近年の研究の進歩により運動が骨格筋のインスリン感受性を増加させるメカニズムの解明が進んでいる一方、運動不足がどのようにインスリン抵抗性を惹起するか、そのメカニズムの解明はほとんど行われていない。そこで本研究では、不活動が骨格筋におけるインスリン抵抗性を惹起するメカニズムを明らかとすることを目的として研究を行った。C57BL6J雄性マウスに、不活動のモデルとして、8-9週齢C57BL6J雄性マウスに対して片側下肢を24時間ギプス固定し、ヒラメ筋のインスリン感受性、骨格筋細胞内脂質組成、脂質代謝酵素量・活性を評価した。その結果、下肢固定は骨格筋インスリン抵抗性を惹起し、細胞内DAG蓄積とインスリンシグナル伝達の減弱をもたらした。また、de novo lipogenesisの律速酵素で、DAG生合成に関わるLipin1の発現量・活性が増加した。そこで、固定によるインスリン感受性低下に対するLipin1の関与をさらに詳しく調査するために、in vivoでヒラメ筋に野生型Lipin1、変異型Lipin1を各々導入し、Lipin1の骨格筋細胞内DAG蓄積、骨格筋インスリン感受性に対する影響を明らかにした。その結果、野生型Lipin1過剰発現では固定によってLipin1活性の著明な上昇とDAG蓄積、インスリン感受性の低下が認められたのに対し、変異型Lipin1過剰発現ではそれらの現象が起こらなかった。これらの結果より、不活動による骨格筋インスリン抵抗性惹起の原因の一つにLipin1を介した細胞内DAG蓄積が関与する可能性が考えられた。
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