研究課題/領域番号 |
15K01733
|
研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
岡田 希和子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (00351213)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | サルコペニア / フレイル / オーラル・フレイル / 低栄養 / 口腔機能 |
研究実績の概要 |
高齢者における低栄養状態は、身体機能の低下、疾患の発症や悪化のリスクとなるため、サルコペニアおよびフレイル予防の重要な介入項目といえる。また、低栄養状態と口腔機能の低下(オーラル・フレイル(サルコペニア))は密接に関係していると考えられる。健常高齢者における口腔機能の低下と食物摂取状況の関係を調査し、低栄養状態のリスクの早期発見の因子を見出す。 調査対象者のうち口腔機能調査が可能であった425名(男性175名、女性250名、平均年齢:男性69.1±0.3歳、女性68.3±0.3歳)を対象とした。調査項目は、年齢、性別、身長、体重、BMI、四肢骨格筋量、握力、歩行速度、食物摂取頻度調査、MNAおよび口腔機能検査(天然歯数、咀嚼力、咬合力)である。咀嚼力、咬合力についてそれぞれ男女別に四分位し、下位25%群を本研究では口腔機能の低下群と位置づけ、上位25%群と比較検討した。 咀嚼力分類において、男性では口腔機能の低下群の「嗜好飲料」の摂取量が有意に多く、「種実類」の摂取量が有意に少なかった。女性では口腔機能の低下群の「嗜好飲料」の摂取量が有意に多かった。咬合力分類において、男性では口腔機能の低下群の「麺・ゆで麺」の摂取量が有意に多く、女性では口腔機能の低下群の「砂糖類」の摂取量が有意に多かった。 本研究における口腔機能の低下群の身体組成、身体機能、栄養状態は決して低い値ではなかったが、口腔機能の低下群では食物摂取状況に一定の傾向が見られ、「嗜好飲料」「麺・ゆで麺」「砂糖類」といったエネルギー源の内訳が増加していた。このような食物摂取状況の偏りは将来の低栄養状態のリスクとなると考えられる。口腔機能の低下がみられるオーラル・フレイル(サルコペニア)状態は、食物摂取状況の偏りを引き起こすため、食習慣に注目した介入は低栄養の予防および早期発見につながると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象者が確保でき、予定している調査項目のデータが得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
同じ対象者について、再度リクルートし、縦断調査としてのデータベースを整え、多角的に解析を実施していく予定である。また、脱落者に対しての脱落理由調査および同意撤回者についての対応も行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
外国開催の国際学会に参加予定であったが、演題を取り下げたため。また、国内開催の学会についても地元開催のみの参加としたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
データ整理解析および学会発表を積極的に行う予定である。
|