平成30年度では、「骨粗鬆症における紅参投与と運動負荷の併用が骨微細構造劣化に及ぼす予防および相乗効果」について以下のように実験を行なった。 実験には、Wistar系雌性ラットを用い、卵巣摘出(OVX)あるいは偽手術(Sham)を実施し、Sham・コントロール群(Sham-CON群)、OVX・CON群(OVX-CON群)、OVX・ジャンプ運動群(OVX-JUM群)、OVX・紅参投与群(OVX-RG群)およびOVX・JUM+RG群(OVX-JUM+RG群)の5群に分けた。ジャンプ運動は、1日10回、週5日の頻度で、6週間を実施した。紅参は、1日200mg/kg、週5日の頻度で、6週間経口投与した。実験終了後、大腿骨骨幹端海綿骨微細構造をマイクロCTにて撮像し、骨梁構造指標を求めた。 大腿骨骨幹端海綿骨の骨量は、OVX-JUM群、OVX-RG群およびOVX-JUM+RG群のいずれもOVX-CON群より有意な高値を示した。一方、ジャンプ運動と紅参投与の併用は、骨量増加に対して相乗効果を認められなかった。骨梁幅は、OVX-JUM群とOVX-JUM+RG群がOVX-CON群より有意な高値を示した。骨梁数は、OVX-RG群およびOVX-JUM+RG群のいずれもOVX-CON群より有意な高値を示した。また、全てのOVX群は、Sham-CON群に比して、骨梁数が有意な低値を示した。 紅参とジャンプ運動は骨粗鬆症モデルラットの骨量減少を維持させる結果を示した。しかしながら、紅参とジャンプ運動との併用によって、骨梁構造指標に対する相乗効果が認められなかった。これらの結果から、紅参投与は閉経または加齢などによる骨量減少の抑制をもたらす効果が示唆されたものの、運動負荷との併用によりその効果は、いずれも骨梁構造指標に交互作用を認めず、相乗的及び相加的な影響を与えるほどではないと考えられた。
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