研究課題/領域番号 |
15K01739
|
研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
木藤 伸宏 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (40435061)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 歩行 / 単脚起立 / 降段動作 / 股関節スティッフネス |
研究実績の概要 |
背景:歩行などの動的な動作において骨盤と体幹の安定性は重要である。本研究は歩行,単脚立位,降段動作時の前額面の動的股関節スティフネスが各動作時の骨盤と体幹の安定性に貢献する新たな指標となるかどうかを検証することを目的とした。 方法:被験者は下肢や腰部に疼痛のない健常若年者80名(男性40名,女性40名)を対象とした。歩行,単脚立位,降段動作時の運動学的および運動力学的データは三次元動作解析装置VICON MXと床反力計を用いて収集した。前額面の動的股関節スティフネスはそれぞれの動作において両脚支持から単脚支持へ移行する際の外部股関節内転モーメントに対する股関節内転角度の回帰直線の傾きから算出した。歩行,単脚立位,降段動作時の骨盤と体幹角度の平均値および最大角度変位量はそれぞれの動作の両脚支持期,単脚支持期から算出した。各動作時の前額面の動的股関節スティフネスと,骨盤と体幹角度の平均値および最大角度変位量の相関分析,動作間の動的股関節スティフネスの相関分析はSpearmanの順位相関係数を用いた。 結果:男性と女性ともに歩行時の前額面の動的股関節スティフネスは歩行時の骨盤傾斜角度との間に負の相関関係を認めた。女性において歩行時の前額面の動的股関節スティフネスは歩行時の初期両脚支持期における骨盤傾斜の最大角度変位量(r = -0.541, p <0.01),骨盤回旋の最大角度変位量(r = -0.580, p <0.01)との間に負の相関関係を認めた。 結論:両脚支持から単脚支持へ移行する際の前額面の動的股関節スティフネスは,骨盤の前額面と水平面の安定性に関与する股関節の制御的側面を表す重要な指標であることが示された。また単脚立位動作が前額面の動的股関節スティフネスをスクリーニングするテストとして有用であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の進歩状況としてはおおむね順調である。現時点で中高年者のデータを解析しており,それは6月中に終了する。テストバッテリーの作成及びその信頼性と妥当性の検証を進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27・28年度に行った研究結果より,申請者と連携研究者にて単脚起立,quarter squat,降段動作の視覚的に判断可能な客観的な臨床評価基準(客観的採点システム)を作成する。 各群よりランダムに10人の動作テスト時の動画を抽出する。そして,医療施設に勤務している5年以上経験のある理学療法士5名を検者とし,動作テストの臨床評価基準(客観的採点システム)の検者内・検者間信頼性を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の使用が予算計画よりも少なくてすんだため,29,018円を次年度に繰り越すことになった。
|
次年度使用額の使用計画 |
データ保存のためのハードディスクを購入する予定
|