研究課題/領域番号 |
15K01740
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研究機関 | 大阪女子短期大学 |
研究代表者 |
高橋 真由美 大阪女子短期大学, その他部局等, 教授 (90596173)
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研究分担者 |
橋本 貢士 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (30396642)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / n-3系脂肪酸 / 飽和脂肪酸 / DOHaD / 糖尿病 / 肥満 |
研究実績の概要 |
胎児期や乳児期の臓器可塑性が高い時期において、母乳は児の将来の健康状態や疾患リスクに影響を与える可能性があることより、本研究では妊娠・授乳期の母親の摂取する油脂由来の脂肪酸による、児の遺伝子発現のエピジェネティクス制御が成人期のメタボリックシンドロームの罹患感受性を決定するか否かを解明することを目指している。 普通食、飽和脂肪酸に富むラード高脂肪食またはn-3系脂肪酸に富む魚油高脂肪食で飼育し、各食餌群における離乳前の仔マウスの肝臓での遺伝子発現を網羅的に解析した前年度の結果では、母獣マウスの摂取する油脂による仔マウスの遺伝子発現が異なり、特に魚油高脂肪食では脂肪燃焼に関与する遺伝子の発現量が有意に増加していた。そこで今年度は仔マウスにおいて発現が変化した遺伝子がエピジェネティクス修飾により制御されているのかを明らかにする目的で以下の実験を行った。網羅的なDNAメチル化解析を行うために肝臓よりDNAを抽出しMIAMI法(Oncogene 25:3059-3064, 2006)を用い検討するとともに、母乳中の脂肪酸組成を測定するため、胃内容物より脂質を抽出しガスクロマトグラフィー法で分析した。その結果、母乳中の脂肪酸の組成は、母獣が摂取した食餌に使用されている油脂の脂肪酸組成をほぼ反映していた。DNAメチル化については魚油高脂肪食群ではコントロール食群あるいはラード高脂肪食群と比較した場合、DNA脱メチル化されている遺伝子は共通しているものが多く、これらの多くは発現が増加していた脂肪燃焼に関与する遺伝子だった。したがって妊娠期から授乳期に母獣が摂取する油脂は母乳を介してエピゲノム状態を変化させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、順調に進展している。今後、さらなる解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に大きな変更はない。DNAメチル化状態が変化した遺伝子が、どのように成獣期に発症するメタボリックシンドロームに対する罹患感受性に関与するか分子レベルの代謝調節メカニズムについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
DNAメチル化に関する網羅的解析において、新規に購入する試薬などが生じなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
DNAメチル化の網羅的な解析法に加え、バイサルファイト解析による特定の遺伝子におけるメチル化変化を検討していく必要があるため、シークエンスなどに使用する予定である。
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