昨年度から引き続き,骨格筋に発現する脂溶性リガンド受容体(GPCR)について、骨格筋モデル細胞C2C12においてRT-PCR法によって発現解析を行った。また、マウスのひらめ筋より単離・初代培養をした筋サテライト細胞(SC)について、膜型エストロゲン受容体のGPR30およびLactic Acid受容体のGPR81の発現について検討した。C2C12およびSCにおける筋線維の分化過程でのGPR30おおよびGPR81の発現とエストロゲンおよびLactic Acid感受性との関係について,細胞増殖性,筋線維分化への検討を進めた。さらに、GPR30およびGPR81からのシグナル伝達系の調節について検討を進めた。 一方で,脂溶性リガンドの筋線維分化作用を検討する上で,生体系に近い骨格筋モデルを構築するため,in vitroでの骨格筋筋線維分化モデルの開発を進めた。本研究では、マトリゲル法およびアルギン酸のゲル化を応用したアルギン酸ビーズ法による三次元培養モデルを構築した。また,SCと骨格筋細胞との共培養系も構築することができた。筋線維への分化過程についての評価については、一部の発現解析(MyoDおよびMyogenin)により分化について観察することができた。 本研究のモデルは、骨格筋と脂溶性リガンドを含めた各種生理刺激による骨格筋筋線維の高機能増殖・分化の検討に向けての応用が可能となり、サルコペニアおよび代謝異常に関連するサルコペニア肥満の予防に向けた、骨格筋機能性向上を目指した研究について追求することができると期待される。
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