研究課題/領域番号 |
15K01746
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
猪狩 和子 東北大学, 大学病院, 講師 (90125493)
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研究分担者 |
高橋 温 東北大学, 大学病院, 助教 (50333828)
松山 成男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70219525)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 必須微量元素 / 子どもの栄養 / 発達障害 |
研究実績の概要 |
脳機能の発達に重要な役割を持つ必須微量元素の亜鉛と銅に注目し、歯に含まれる亜鉛と銅の分布を分析して、児の出生時の状況や出生後の栄養摂取法、発達障害やてんかんの有無などの健康背景との関連を検索することにより、栄養摂取における亜鉛および銅の多寡が子どもの健康や発達に及ぼす影響を明らかにすることを目的として本研究を実施した。本年度は、乳歯における新産線を境界とする出生前後の亜鉛濃度評価の精密度を高めるための方策と永久歯試料の分析条件の検討を進めた。 先行研究に用いたPIXE分析法により乳歯エナメル質における新産線前後の亜鉛濃度の解析を行った。その結果、出生前に形成された領域の亜鉛濃度は100~200ppmで比較的安定していたが、出生後に形成された領域では表層に向けて濃度が上昇するものと出生前とほぼ同レベルを維持するものとが見られた。これまで基礎疾患を有する小児から得られた試料を分析してきたが、得られた結果が基礎疾患による健康状態と関連するのか明らかにするためには満期出産定型発達児から得られた試料との比較が必要と考えられたためその試料を準備し分析に供した。測定を終えて、現在は分布様相の詳細や濃度を解析中である。 また、現在得られている測定濃度は一定測定条件下での相対濃度であるため、内部標準に対する評価や、他の分析法における測定値との整合性についても検討を進めている。 永久歯試料の分析条件の検討では、乳歯とは硬組織の厚さ、硬さの異なる永久歯をPIXE分析に供するために適した試料の厚さや、表面処理法などおもに試料の調整法について検討した。PIXE分析のための加速器の調整を待って分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PIXE分析を行う加速器の不調と使用時間確保の困難があり、分析実施が滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
対照として満期出産定型発達児の乳歯について出生前後の亜鉛動態を把握しておく必要があり、そのための試料を収集する。収集状況によっては、外部機関に協力を求める。 1試料あたりの測定時間を短くして、有効な測定ができるよう特に永久歯試料の調整法を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りに使用してきたが、購入予定のダイヤモンドホイールが海外製品のため納入に時間を要し、年度内納入に至らず19,580円の残額を生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度助成金に合算し、ダイヤモンドホイールや、研磨用物品など消耗品の購入に使用していく。
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