研究課題/領域番号 |
15K01749
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 正人 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (10134248)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アフォーダンス / 場所 / 配置 / イベント / アンビエント / 遊び |
研究実績の概要 |
本研究は、保育の場における場所の行為的な意味を発達心理学的に解明することを目的とする。行為発達は屋内環境資源としての場所と関係している。本研究は移動を開始した乳児が自発的に「遊びはじめる場所」に着目して以下の3つのステップで目的を達成することを予定している。(1)0-1 歳児が自発的に「遊びはじめる場所」を家庭と保育所で同定し、蒐集および分類。(2)発見された「遊びはじめる場所」のマクロとミクロの環境パラメタによる要因解析と記述。(3)保育所の場所デザイン資料のためのコンパクトな「遊び場所フィールド事例集」の作成。 昨年度に引き続き①日常場面での行為をデジタル・ビデオに記録した屋内の動画データ、②保育施設における動画データ、③公園や道端などのような日常生活の屋外静止画データという3つのデータセットが蒐集された。①においては既取得の2家庭のデータに加えて、新たに2家庭分のデータが追加され、②では1つの保育施設におけるデータが順調に蓄積された。 これらのデータセットをもとに、「(2)発見された「遊びはじめる場所」のマクロとミクロの環境パラメタによる要因解析と記述」のために研究グループ内で定期的な研究会を開き分析および検討がなされた。それらの成果の一部は、本年度学会発表および雑誌論文として公表された。 次年度は、研究会などにおけるさらなる検討をもとに、さらに雑誌論文および「遊び場所フィールド事例集」として成果のとりまとめと公表を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、本年度は、当初の計画通り「(2)「遊びはじめる場所」のマクロとミクロの環境パラメタによる要因解析と記述」へと歩を進めることができた。研究メンバー内で継続的に研究会を開き、取得済みのデータの分析と検討をおこなうとともに、パラメタの吟味を深めてきた。その結果、それらの成果の一部が日本発達心理学会第29回大会において「歩行の発達と部屋の環境 ー乳児の歩行開始の戦略ー」としてポスター発表された。また研究会において検討されてきた「環境―行為系」という観点は、本研究と最も関連の深い国際学会誌であるEcological psychology誌おいて公表された論文”The Reciprocity of Environment and Action in Self-Righting Beetles: The Textures of the Ground and an Object, and the Claws. ”の分析枠組みおよび議論に生かされた。 以上より、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、(3)保育所の場所デザイン資料のためのコンパクトな「遊び場所フィールド事例集」の作成に着手していく予定である。そのために、既取得データを用いてなされている局所的な事例分析結果をさらに蓄積し、それらの結果を学会発表や学術論文としてまとめていく予定である。また、こうした事例分析を体系的な「事例集」へと取りまとめるために、研究グループ内における研究会だけではなく、実践者向けの発表会や検討会を開くことで広く保育実践者の方々の意見を乞い、実践場面で使用可能なコンパクトな場所デザイン資料へと洗練していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が来年度より所属機関異動することになり、分析環境の整備において機材購入の一部を見送ったため、次年度使用額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
上述のように、次年度使用額が生じた理由は研究代表者の異動によるものであり、研究計画には変更は無い。したがって、データの分析環境の整備のために物品を購入することによって執行される予定である。
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