研究課題/領域番号 |
15K01749
|
研究機関 | 多摩美術大学 |
研究代表者 |
佐々木 正人 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (10134248)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | アフォーダンス / 場所 / 遊び始め / 移動開始期 / パタン・ランゲージ |
研究実績の概要 |
本研究は、乳児の移動開始期に注目し「遊び始める場所」のアフォーダンスを明らかにするとともに、そこから得られた知見を保育環境デザインに援用可能な「乳児用パタン・ランゲージ」の作成を目的としている。こうした目的のために、本研究ではジェームズ・ギブソン(1979)のアフォーダンス理論に依拠するとともに、建築家クリストファー・アレグザンダー(1977)の環境設計単位である「パタン・ランゲージ」を援用し、「場所」を生活の基礎となる単位として設定することで、その心理学的な性質の解明を試みる。H29年度は、昨年度までに取得した「遊び始め場面」データを元に分析を進めるとともに、最終的な「パタン・ランゲージ」の形式へと取りまとめるための枠組みを検討した。本年度は、研究代表者の所属研究機関の異動に伴いデータ分析環境の再構築の必要が生じたため、成果物取りまとめのための枠組みの検討を優先的に行った。具体的には、9月2日神戸大学野中哲士准教授らを多摩美術大学上野毛キャンパスに招き、最新の生態心理学の知見についてレクチャーを受けるとともに、「遊び始める場所」の分析枠組みについて検討を行った。また、3月10日には、同じく多摩美術大学上野毛キャンパスにおいて研究協力者らとともに、行為分類のために最新の生態心理学における複数のアプローチを検討するとともにデータ分析のためのセッションを行った。以上の成果を基礎として、来年度はデータ分析の完了と「乳幼児パタン・ランゲージ」の作成を目指す予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は昨年度までに取得されたデータを元にしたデータ分析作業を完了するとともに、建築家アレグザンダーの「パタン・ランゲージ」を援用しデータの取りまとめを行う予定であった。しかし、研究代表者が所属研究機関を異動することとなったため、データ分析のための研究設備の再構成が必要となり、そのため当初予定していた研究の取りまとめ作業に遅れが生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
H29年度中にデータ分析のための研究環境の再構築と整備は完了したため、H30年度は研究の取りまとめ作業に入る。前半では、分類枠組みの確定を行うとともに、「遊び始める場所」事例集のパイロット版を作成する。後半では、保育所等に協力を依頼し、写真や絵を多用しコンパクトで使用しやすい報告書へと取りまとめる予定である。また、これらの成果の一部は、本研究課題に関係の深い、日本生態心理学会、日本発達心理学会で発表される予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属研究機関の異動に伴い、データ分析環境の再構築が必要となったため、研究全体に遅れが生じ、取りまとめに係る経費の執行が次年度へと持ち越されることとなった。
|