研究課題/領域番号 |
15K01750
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
内海 緒香 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 特任講師 (60735306)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 保育の質 / エフォートフルコントロール / 幼児期 / 養育 / モニタリング / 動機づけ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼児期における保育の「質」の一側面として、養育者と保育者のモニタリング行動を取り上げ、質的研究と量的研究を組み合わせることにより、モニタリングに関連する規定因と子どもの自己制御へつながる機序を解明することであった。
今年度の主要な目的は、来年度以降の縦断調査に向けた質的研究を主体とした基礎的研究と量的研究に関するパイロットテスト、すなわち、①保育者のモニタリング行動や動機づけに関連する概念コード抽出、②親子間におけるモニタリング行動の記録、③保育者のモニタリング行動の数量化の3点であり、今年度中に①と②を完了させた。 具体的には、a)保育者に対する半構造化面接を拡充するため、観察を行った幼稚園以外の幼稚園に勤務する保育者複数名にインタビューを行った。b)保育者に対するインタビュー内容を質的に分析したショートレポートを日本心理学会にて発表した。c)執筆に向け、観察データを整理分析した。d)年中児の母子(28組)に対し実験/調査/面接を行った。子どもには、自己制御に関する行動測定に向けたパイロットテスト(実験)を実施した。母子に対し、クイズ形式によるモニタリング測定課題を実施した。モニタリング概念の妥当性を調べるため、母親から、母親の養育(モニタリングを含む)/母親のパーソナリティ/子どもの問題行動/子どもの発達を質問紙尺度により測定した。最後に、母親に対しモニタリングに関する半構造化面接を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度計画は、①保育者のモニタリング行動や動機づけに関連する概念コード抽出、②親子間におけるモニタリング行動の記録、③保育者のモニタリング行動の数量化の3点であったが、③調査参加園の募集が非常に困難であったため取りやめた。縦断調査計画における保育者のモニタリング行動は、保育者と保護者の自己報告に代替することとした。また、27年度に質的調査を取りまとめた論文発表を予定していたが、質的データの分析とコーディングに時間がかかったことから28年度に繰り越した。その分、縦断研究準備を平成28年度後半、開始を29年度に繰り延べた。
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今後の研究の推進方策 |
質的研究の論文執筆に励むとともに、7月には国際学会で発表する。本年度は、①27年度の面接調査から得られた“モニタリングの動機づけ(配慮)”尺度の開発を行う。②協力園が見つかれば、次年度の縦断研究に向け、保育者のモニタリング活動と子どもの自己制御および適応との横断的関連についてパイロット研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出席の回数と宿泊数が予定より少なく、研究計画をひとつ削ったことから人件費・謝金の支払いが減少し次年度使用分が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、差引額221,060を質問紙調査を実施するに当たり調査会社への依頼に充てる予定である。
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