研究課題
我々は、これまで発達障害児者のコミュニケーション・スキルを向上させるために、多角的な観点に基づいてトレーニングシステムの開発をしてきた。表情認知トレーニング、状況理解と相応しい行動を身につけるための社会スキルトレーニング、発話の明瞭度を向上させるための発話トレーニング、画像処理と筋電図計測を用いた表情の表出・同調トレーニングなどといった様々なシステムを開発し、それらのトレーニングシステムを必要に応じて併用しながら、発達障害児者の実践的な療育・支援に活用してきた。最終年度は、表情認知トレーニングシステムにおいて、刺激映像を視線追跡機能付VRヘッドセット「FOVE」を活用し、対面している人との現実感を高めた表情提示を行うことで、表情認知の正解率や反応時間を調べたり、表情を見ているときの視線位置や動きについて調べたりするシステムの開発を行った。表情認知実験で用いたモデル表情の作成プロセスは以下の通りである。システムに提示するモデルとして健常大学生(男子3名、女子4名)に協力してもらった。Ekmanらによって定義された基本6表情(怒り、嫌悪、恐怖、幸福、悲しみ、驚き)+無表情の7表情について、JACFEE(Japanese and Caucasian Facial Expressions of Emotion)に基づき、表情表出の練習を十分に行ってから、VR用ステレオカメラOvrvison Proにて撮影した。次に、Ekmanの6表情に関する知識を持ち合わせている学生(男子9名、女子4名)により主観評定法に基づき、撮影した各表情画像を評価し、どの表情も高評価を得られた男女各2名の各表情をVRヘッドセットに提示する映像として選定した。健常大学生に対して上記のVRヘッドセットを活用した表情認知の評価実験を行ったが、今後、表情認知を苦手としている人達に対して検証を進めていく予定である。
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