研究課題/領域番号 |
15K01754
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
上田 裕美 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80302636)
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研究分担者 |
小崎 恭弘 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20530728)
池谷 航介 大阪教育大学, 教職教育研究センター, 准教授 (60740321)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / 児童虐待 / 就学支援 |
研究実績の概要 |
本研究課題の二年目にあたる2016年度は、全国の児童養護施設を対象に郵送による質問紙調査を行った。この調査の目的は、児童養護施設に生活する児童への就学支援の現状と課題、施設職員が認知するニーズを明らかにすることであった。質問紙の郵送は601施設に対して行い、197施設(回収率約33%)から回答を得られた。調査項目については、前年度に行った児童養護施設内外の関係者への聞き取り調査によって得られた着眼点を踏まえて作成した。調査結果について集計を行ったところ、以下のようなことが明らかになった。 ①児童養護施設での学習支援として、通塾等の支援はある程度普及してきており、特に中学生ではおよそ8割の施設が塾を利用している。②一方で、入所児童の就学を含めた進路を支援する上での難しさとして、児童の突然の措置変更、施設職員の離職や配置換え等によって、児童との関係の継続に困難があるという課題が上位に挙げられた。③入所児童の高校中退については、8割の施設が「経験ある」と回答した。中退の原因としては、「親に辞めさせられた」「経済的に余裕がなかった」という理由が上位に挙げられた。④入所児童の大学等への進学については、87%の施設が「経験ある」と回答した一方で、大学等の中退については、44.7%の施設が「経験ある」と回答した。中退後に苦労したこととしては、「奨学金を返済しなければならないこと」「住む場所が確保できないこと」が上位に挙げられた。 また、児童養護施設退所後を支援する上で、「生活や就学のための経済的補助」「低い家賃で住めるところ」「保証人がいない場合を支援する制度」といったニーズが上位に挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度は、全国の児童養護施設を対象に質問紙による調査を実施することを計画していた。601施設に郵送による調査依頼を行った結果、197施設から回答を得ることが出来た。調査結果については単純集計を終えたところであるが、今後より詳細に分析し結果を読み解いていくことで、児童養護施設入所児童の就学支援に関する課題とニーズを明らかにすることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、2016年度に行った質問紙調査の回答を詳細に分析する。その結果明らかになった課題とニーズを踏まえながら、児童養護施設における就学支援システムの確立に向けて提言を行う。
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