研究課題/領域番号 |
15K01755
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
黒沢 洋一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50161790)
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研究分担者 |
大西 一成 山梨大学, 総合研究部, 特任准教授 (50596278)
松下 博昭 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60732394)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オキシトシン / コルチゾール / 不安障害 / 子宮内膜症 / 子育て / 母子関係形成 |
研究実績の概要 |
本研究では、オキシトシン・コルチゾールが母子関係形成と子どもの精神発達に与える影響の評価を行っている。環境省エコチル調査残余血液解析およびエコチルの質問票データ、独自の追加アンケート調査を行い、鳥取地区の独自の調査として実施した。鳥取地区のエコチル参加者3099名のうち、840名で同意が得られた。そのうち、161名の残余血液を用いて、妊婦の産前産後における血中オキシトシン・コルチゾール濃度の計測を行った。 今年度はエコチル質問票データのうち、質問回投票(妊娠初期、妊娠後期、産後1ヶ月後)、問診票転記データを用い、オキシトシン濃度に影響を及ぼす因子およびオキシトシン濃度による行動変容との関連性を検討した。解析の結果、次のような結果が得られた。 (1) 既往歴に不安障害および子宮内膜症を持つ妊婦では健常な妊婦と比較して産前・産後でのオキシトシン濃度が有意に低いこと (2) オキシトシン濃度が低い群では子どもに対して特別な感情を抱かない傾向にある 1に関しては、結果をまとめ鳥取県公衆衛生学会および国際疫学会で発表予定である。2に関してはまだサンプル数が少ないため、予算の許す限り残りの血液データを解析し、サンプル数を増やして解析していく予定である。さらに、オキシトシンはうつ病との関連も報告されているので、オキシトシン濃度差が産後うつに与える影響を調べるために、血液データ解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既往歴との比較を行った結果、不安障害の既往歴を持つ患者と、子宮内膜症の既往歴を持つ患者で、産前・産後のオキシトシン濃度が低いことが示された。また、産後うつ指標であるEDPSとオキシトシン濃度を比較すると、オキシトシン濃度が低いと産後うつのリスクが増加することが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
母子関係形成異常を示すようなスコアを持つ患者の血液データを解析し、より詳細に産前・産後のオキシトシン濃度がどのように母子関係形成に影響を及ぼすか解析する。 また、自閉症や発達障害などの疾患情報を得られ次第、その解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
血液を解析する際に、残余血液量が足りず、解析できないサンプルが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次回のオキシトシン血液データ解析に用いる予定である。
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