研究実績の概要 |
本研究は,学齢期の子どもたちの望ましい発達を妨げる様々な問題や近年の日本社会が抱える多様なストレスなどの慢性的な問題の状況下にいながら,リスクにうまく対処し悪影響を克服して成長している子どもたちについて調査を行い,レジリエンスの機序を明らかにした上で,子どもたちの望ましい発達に寄与するレジリエンスを育成する方法を開発することである。その達成のために,次の具体的目標を設定している。①レジリエンスに関する概念整理を行い,共通理解を図る素地をつくる。②レジリエンスを持つ子どもを同定し,その特徴及び機序について明らかにする。③レジリエンスを増強させるプログラムを開発し,その効果を検証,の3点である。本年度は以下の研究を実施した。 第一に,調査者及び調査協力者におけるレジリエンスの共通理解を図るため,研究者および共同研究者によるレジリエンスに関する概念整理の後,その内容について調査協力中学校の学校長に説明し,校内研修において調査協力者へのレジリエンスを説明を行った。第二として,レジリエンスを実現している子どもを同定するためのレジリエンス尺度を作成。結果,活動意欲性,自己コントロール,対人関係,楽観性の4つの因子が抽出され命名された。また,研究の概念整理においてレジリエンスに関係が深いことが示された構成概念「スクール・エンゲイジメント」を測定する尺度を作成した。同様に,レジリエンスの概念整理において,レジリエンスと学校適応感の関係が示唆されたため,アセス(栗原ら,2013)を用いた調査を実施した。それぞれの調査は,1学期に1回, 3学期に1回実施した。第三として,チェックリストを基にした調査協力者への聞き取り調査を実施。第四として,レジリエンス,スクール・エンゲイジメント,学校適応感について共分散構造分析により,それぞれの関係についてパスモデルを作成した。
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