研究課題/領域番号 |
15K01758
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
池田 誠喜 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90707192)
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研究分担者 |
金児 正史 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00706963)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レジリエンス / レジリエンシー / エンゲイジメント / 縦断的研究 |
研究実績の概要 |
本年度は、同一コーホート集団に対する調査最終年度であり、前年度に引き続きレジリエンシー、スクールエンゲイジメント、学校環境適応感尺度アセス(栗原ら、2010)尺度を用いた質問紙調査、調査協力者への面談調査を実施した。調査の回数として、学期1回合計3回の調査で、合計調査回数は3年間で9回である。 質問紙調査により、対象コーホートひとり一人の3年間のレジリエンス状況の変化について、レジリエンシー尺度調査の結果を整理分析することにより把握した。また、影響を及ぼすと考えられる構成概念である「エンゲイジメント」との関連が示されたため、エンゲイジメントの関連を調査した結果、エンゲイジメントの状況を作り出すことによる効果が期待できることが示唆された。 面接調査として、調査協力者に対してコーホートひとりひとりについてレジリエンス状況を尋ねた。チェックリストを基に、半構造化面接を実施し、複数名の面接対象者の回答に共通する点を抽出してレジリエントを同定し詳細に状況を確認した。その結果と質問紙調査との異同を確認して、妥当性が高いと思われる調査対象者について、調査協力者より詳細について聞き取り調査を実施した。 これらの結果を基に、レジリエンスを生みだすためにエンゲイジメントの状況を作りだす学校教育の取り組みが、レジリエントな生徒を作り出す方法の一つとして考えられ、最終年の2018年度の取り組みとして、エンゲイジメント作り出すことを目指した活動を学校教育に取り入れレジリエントな生徒の育成を図る実践計画を構想することとした。 これまでの研究の成果として、「レジレンスの関連する心理学的概念の特徴と学校教育の適応」について鳴門教育大学研究紀要に、また、生徒指導学研究に「中学生の生活満足感とストレス反応に影響を与えるエンゲイジメントとレジリエンシーの関連」として整理し発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017度は、コーホート調査の最終年であった。予定していた、レジリエンシー、エンゲイジメント、学校適応感の調査は概ね完了した。また、調査協力者への面接調査も完了して最終の整理と分析を済ましており、概ね順調に進展している。 2018年度のレジリエンスを育成する学校の取り組みについても、実施協力を得ており、具体的な取り組みの打ち合わせの後に、1学期の早い時点から学校で取り組んでいけるよう計画を整理している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2018度は、これまでの調査を基にレジリエントな生徒を学校教育の中で育てる実践についての検証を行う。実践計画として、エンゲイジメント概念を取り上げ、学校教育で生徒をエンゲイジメントの状況にするための仕掛けを設定する。そのために、調査協力中学校1校(3学年18クラスの中規模校)の教育計画についてエンゲイジメント概念を取り入れてもらい、教員の意識及び活動の質・量の調整、エンゲイジメントを生み出す授業づくり、特別活動づくりに取り組んでその結果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
印刷処理の消耗品や調査校の訪問が学校行事等で同時期に訪問することや、調査について調査協力者の多大な協力を得ることができたため、研究調査者が訪問しなくても調査を実施できたため旅費が予定よりも少なかった。 また、来年度への繰り越した助成金の使用計画として、レジリエンスを育成するための学校教育の取り組みに関する打ち合わせや実施のための教員研修などで、当初の計画より旅費が増加することが見込まれ、その分に使用する。
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