研究課題/領域番号 |
15K01771
|
研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
小林 真理子 放送大学, 教養学部, 准教授 (70383106)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | がん患者の子ども / 支援ニーズ / 学校での支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、がんの親をもつ発達期の子どもへの支援について、患者・家族、学校教員、医療関係者を対象とした調査や実践を基に、家庭・学校・医療機関をつなぐ支援リソースの開発を行うことである。平成28年度は以下のような調査や検討を進めた。 1)患者・家族のニーズ調査:前年度作成した、子育て中のがん患者・家族(母親・父親)の支援ニーズに関するアンケート調査票を医療機関を通じて配布した。現在回収中であり、途中経過としてのデータの分析を行った。 2)学校教員対象のインタビュー調査:学校教員の支援ニーズや具体的な支援方法を検討するために、高校教員6名を対象にグループインタビューを行った。調査内容は、①がんの親をもつ生徒への支援経験、②学校でできるサポート、③学校内外との連携、④支援に必要な情報についてであった。 3)冊子アンケート:平成24年に作成した学校向け冊子に関する読者アンケート(平成28年2月までに728通回収)より、患者の立場で自由記載された意見内容について分類し、支援ニーズを検討した。それを平成28年の日本心理臨床学会にて発表した。 4)専門家対象ワークショップ:これまでの調査研究の結果をふまえ、子育て中の親ががんになったときに子どもと家族をどう支援するかをテーマに、教師・医療従事者・ソーシャルワーカー・カウンセラー等対象のワークショップを行った(長崎ウエスレヤン大学地域連携推進センターとの共催)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん患者の子どもと家族への心理社会的支援に関する調査や既存データの分析を、患者・家族、学校教員、医療関係者を対象として順次行っている。平成28年度は、子育て中の患者・家族のニーズ調査、および学校教員へのグループインタビュー調査の実施と分析を優先したため、医療関係者対象の調査分析に着手できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度行った、患者・家族対象調査および学校教員対象調査については、分析を進めて関連学会で発表する。また、医療関係者に関しては、これまでに回収された冊子アンケートのうち、がん患者の子どもへの支援について記載された回答内容についての質的分析を進める。 それらの調査をもとに、家庭・学校・病院での支援ニーズや具体的方法をまとめ、患者・家族、学校教員、医療関係者に役立つ冊子を作成し、ホームページ等でダウンロードできるようにする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査に関して、追加分の印刷および調査結果の入力を外注せずにすんだため、経費が節約できた。その分を次年度に回し、冊子作成費用等に追加して充てる。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、これまでの活動や実施済みの調査分析から得られた知見を学会等で発表するための旅費や参加費用に充てるほか、患者・家族および教員や医療関係者等支援者に向けた冊子を作成し、その印刷費や普及のための費用に充てる予定である。
|