本研究では、がんの親をもつ子どもへの支援について、患者・家族、学校教員、医療関係者を対象とした調査や実践を基に、家庭・学校・医療機関をつなぐ支援リソースの開発を行うことを目的としている。平成30年度までに、以下のような調査や検討を進めた。 1)患者・家族のニーズ調査:平成27~28年度にかけて、子育て中のがん患者・家族(母親・父親)の支援ニーズに関するアンケートについて、回収した30通のデータ分析を行った。 2)学校教員対象のインタビュー調査:平成28年度に、学校教員の支援ニーズや支援方法を検討するために、高校教員6名を対象に実施したグループインタビュー(調査内容:①がんの親をもつ生徒への支援経験、②学校でできるサポート、③学校内外との連携、④支援に必要な情報)について、その分析結果を平成29年の日本心理臨床学会にて発表した。 3)スクールカウンセラー(SC)対象のインタビュー調査:平成29年度に、SCの支援経験や支援ニーズを把握するために、SC6名を対象にグループインタビュー(調査内容:①がんの親をもつ生徒への支援経験、②SCにできるサポートや連携 、③学校向け冊子に載せて欲しい情報について、その分析結果を平成30年の日本心理臨床学会にて発表した。 4)冊子アンケート:平成24年に作成した、がんの親をもつ子どもの支援に関する学校向け冊子の読者アンケート(平成29年12月まで938通回収)について、支援者による支援経験や家族のニーズについての回答を中心に分析を進めた。また、冊子改訂に参考となる意見をまとめた。 5)冊子第2版の作成:「親ががんになったとき~子どものために学校にできること~第2版」として、上記のアンケート、高校教員対象のインタビュー、小・中学校スクールカウンセラー対象のインタビューの分析結果をもとに内容の改訂および増補を行い発行した。
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